胃ろう・経管栄養のケアプラン文例|ニーズ・長期目標・短期目標【導入直後〜看取り期の時期別】

胃ろう・経管栄養のある利用者に関するケアプランのニーズ・長期目標・短期目標の例文・文言集です。

居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成する際に直面する様々な課題を解決するためのお手伝いをします。

・胃ろう・経管栄養に関するニーズや目標の文例や記入例を見ながら、ケアプランや計画書作成をスムーズに進めたい方へ
・監査や実地指導での指摘を避け、安心して業務に取り組みたい方へ

胃ろう(PEG)や経鼻胃管などの経管栄養は、嚥下障害や意識障害などにより口から十分な栄養が摂れない利用者に行われる栄養管理方法です。在宅での経管栄養管理には、栄養剤の注入管理・胃ろうチューブのケア・口腔ケア・合併症予防・家族への指導など多くの対応が求められます。訪問看護との密接な連携が不可欠であり、ケアプランの文言作成に悩むことの多いテーマです。利用者の状態や家族の介護力に合わせて文言をアレンジしてお使いください。

胃ろう・経管栄養に関するニーズ・長期目標・短期目標例文一覧

胃ろう・経管栄養のケアプランを作成するときは、「栄養管理が安全に継続できるか」「胃ろう周囲やチューブのトラブルを早期に発見できるか」「家族が安心して在宅ケアを続けられるか」を軸にニーズを整理することが重要です。口腔ケアや残存する嚥下機能の活用など、経口摂取への可能性も意識した文言を選んでください。

栄養管理・注入管理に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
胃ろうからの栄養注入が必要であり、安全に栄養管理をしながら在宅生活を続けたい 胃ろうによる栄養管理が安全に継続され、体力・栄養状態が維持できるようになる 訪問看護師の指導・確認のもとで栄養注入が毎回安全に実施できる体制を整える
栄養注入の管理を家族が行っているが不安があるため、安心して続けられる体制を整えたい 家族が安心して栄養注入を管理できるようになり、在宅での栄養管理が安定して継続できるようになる 訪問看護師から栄養注入の手順・観察ポイントについて指導を受け、家族が自信を持って実施できるようになる
栄養状態が低下しており体力が落ちているため、適切な栄養管理で体力を維持しながら生活したい 必要な栄養が確保され、体力・体重が維持できる状態で在宅生活が続けられるようになる 主治医・訪問看護師と連携し、栄養剤の種類・量・注入スケジュールが適切に管理できるようになる
注入中の逆流や嘔吐が心配なため、安全に栄養注入ができるよう対策を整えたい 栄養注入時の逆流・嘔吐が防止され、安全に栄養管理が継続できるようになる 注入時の体位・速度・量の管理を徹底し、逆流リスクを最小限にした注入が毎回できるようになる

胃ろう・チューブの管理に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
胃ろう周囲の皮膚トラブルを防ぎながら、清潔に管理して在宅生活を続けたい 胃ろう周囲の皮膚が清潔に保たれ、トラブルなく在宅での栄養管理が継続できるようになる 訪問看護師による胃ろう周囲の洗浄・観察を定期的に受け、発赤・肉芽などの異常を早期に発見できるようになる
胃ろうチューブの交換時期が来ており、適切に対応しながら安全に管理したい 胃ろうチューブが適切なタイミングで交換され、トラブルなく栄養管理が継続できるようになる 主治医・訪問看護師と連携し、チューブ交換の時期を把握して適切に対応できる体制を整える
胃ろうチューブが自己抜去されるリスクがあるため、安全に管理しながら生活したい 胃ろうチューブの自己抜去が防止され、安全に栄養管理が継続できるようになる チューブの固定方法と自己抜去時の緊急対応手順を関係者間で共有し、速やかに対処できる体制を整える

口腔ケア・経口摂取への支援に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
経管栄養中でも口腔内を清潔に保ち、誤嚥性肺炎を予防しながら生活したい 口腔内の清潔が維持され、誤嚥性肺炎を起こすことなく在宅生活が継続できるようになる 訪問介護・訪問看護による毎日の口腔ケアを継続し、口腔内の細菌繁殖を防ぐことができるようになる
わずかに嚥下機能が残っており、できれば口から食べることを続けたいため、安全な経口摂取を続けたい 残存する嚥下機能を活かし、安全な範囲での経口摂取が継続できるようになる 言語聴覚士の評価のもと安全に摂取できる食形態を確認し、楽しみ程度の経口摂取が継続できるようになる
嚥下訓練を継続して経管栄養から経口摂取へ移行できるようになりたい 嚥下機能が改善し、経口摂取の割合が増えて経管栄養への依存度が軽減できるようになる 言語聴覚士による嚥下訓練を週○回継続し、経口摂取できる食品・食形態の幅が広がるようになる

合併症予防・体調管理に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
経管栄養中で誤嚥性肺炎のリスクがあるため、予防しながら安全に在宅生活を続けたい 誤嚥性肺炎を起こすことなく、安全に在宅での栄養管理が継続できるようになる 注入時の体位管理・口腔ケア・痰の吸引対応を適切に継続し、誤嚥性肺炎リスクを軽減できるようになる
下痢や便秘など消化器症状が出ることがあるため、症状をコントロールしながら栄養管理を続けたい 消化器症状が適切に管理され、栄養状態が安定した在宅生活が続けられるようになる 排便状況を記録し、訪問看護師・主治医へ定期的に報告することで栄養剤の調整が図れるようになる
発熱や体調変化が起きたときに家族だけでは対応できないため、緊急時の体制を整えたい 緊急時にも速やかに対応できる体制が整い、安心して在宅での栄養管理が継続できるようになる 発熱・嘔吐・チューブ抜去などの緊急時の連絡先・対応手順を関係者間で共有し、迅速に対処できる体制を整える

家族支援・介護負担軽減に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
胃ろう管理の介護負担が家族に大きくかかっているため、専門職のサポートを受けながら在宅を続けたい 専門職のサポートにより家族の負担が軽減され、安心して在宅での栄養管理が継続できるようになる 訪問看護・訪問介護の回数を適切に設定し、家族が担う胃ろう管理の範囲を明確にして負担を軽減できるようになる
家族が胃ろう管理の方法を十分に理解できていないため、正しく習得して安心して介護できるようにしたい 家族が胃ろう管理の方法を習得し、自信を持って在宅介護が継続できるようになる 訪問看護師から胃ろうの管理方法・観察ポイント・緊急時対応について繰り返し指導を受け、家族が安心して実施できるようになる
24時間の介護体制が難しく家族が疲弊しているため、レスパイトを取りながら在宅を続けたい レスパイトケアを定期的に活用することで家族の負担が軽減され、在宅での栄養管理が継続できるようになる ショートステイの定期利用または訪問看護の回数増加により、家族が月○回まとまった休息を取れるようになる

【時期・状況別】胃ろう・経管栄養のニーズ・長期目標・短期目標の文例

胃ろう・経管栄養の方の支援は、導入直後・安定期・経口摂取を目指す時期・看取り期で、目標の重心が変わります。時期ごとに文例をまとめました。

導入直後(退院してすぐの時期)

手技の定着、物品の調達、生活リズムの組み立てなど、在宅生活の立ち上げが最優先の時期です。家族の不安が最も大きい時期でもあります。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
胃ろうをつくって退院したばかりで不安が大きいが、自宅での生活を軌道に乗せたい 在宅での栄養管理が安定し、落ち着いた自宅での生活が送れるようになる 訪問看護の支援を受けながら、注入の手順・時間が生活の中に定着する
注入の時間と家族の生活時間が合わずに慌ただしいため、無理のない形にしたい 本人・家族の生活リズムに合った注入スケジュールが確立できる 注入時間・回数について主治医と相談し、家族の生活に合った方法へ調整できる
必要な物品をどこで手配すればよいか分からないため、困らないようにしたい 物品の調達・管理の体制が整い、切らすことなく在宅療養が継続できる 栄養剤・注入用品の入手経路と発注のタイミングを家族が把握できる
初めてのことばかりで、何かあったときどうすればよいか分からない トラブル時の対応が明確になり、本人・家族が安心して生活できるようになる チューブが抜けた・発熱した等の場面ごとの連絡先と手順を書面で共有できる

安定期(在宅での管理が定着した時期)

合併症の予防と、療養だけに偏らない生活の広がりが課題になります。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
胃ろうの周りが赤くなることがあるため、皮膚のトラブルを防ぎたい ろう孔周囲の皮膚トラブルなく、安定した胃ろう管理が継続できるようになる 毎日の洗浄・観察を継続し、発赤・漏れがあれば早期に訪問看護へ相談できる
下痢や便秘を繰り返すため、おなかの調子を整えたい 排便が安定し、体調を崩すことなく在宅生活が送れるようになる 注入速度・栄養剤の温度や種類の調整により、下痢・便秘の回数が減る
胃ろうになってからも外出したり人に会ったりする生活を続けたい 療養に偏らない生活が維持され、社会とのつながりを持ち続けられるようになる 注入時間を調整し、月○回の外出・通所の機会を持つことができる
体重が減ってきたのが心配なため、体力を保ちたい 栄養状態が維持され、活動的に過ごせる体力が保たれるようになる 月1回の体重測定と栄養量の見直しにより、体重の減少に歯止めがかかる
寝ている時間が長いため、床ずれをつくらないようにしたい 褥瘡を発生させることなく、安楽な状態で在宅生活が継続できる 体圧分散用具の使用と体位変換の実施により、皮膚の発赤なく経過できる

経口摂取の再開・併用を目指す場合

胃ろうは「一度つくったら口から食べられない」わけではありません。嚥下機能の評価を受けたうえで、楽しみとしての経口摂取を目標にできる場合があります。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
少しでもいいので、また口から食べる楽しみを取り戻したい 安全な範囲での経口摂取が実現し、食べる楽しみのある生活が送れるようになる 嚥下機能の評価を受け、医師の許可のもとゼリー等の少量摂取を試すことができる
好きだった味をもう一度味わいたいが、むせるのが心配 誤嚥なく、本人が望む形での経口摂取が継続できるようになる 言語聴覚士の指導により、安全な姿勢・食形態で少量の経口摂取ができる
口を使わなくなって口の中が汚れやすいため、清潔を保ちたい 口腔内の清潔が維持され、誤嚥性肺炎を予防しながら生活できるようになる 1日2回以上の口腔ケアを実施し、口腔内の乾燥・汚れが改善する

看取り期・状態が低下している場合

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
体が受けつけにくくなってきたため、苦しくない方法で過ごしたい 苦痛の少ない状態が保たれ、本人が望む場所で穏やかに過ごせるようになる 注入量・速度を状態に合わせて調整し、嘔吐・腹部膨満なく過ごせる
今後の栄養のことについて、家族で納得して決めていきたい 本人・家族が納得した方針のもとで、穏やかな療養生活が送れるようになる 主治医から今後の見通しの説明を受け、家族が疑問を相談できる

在宅看取りの文例は看取り・ターミナルケアのケアプラン文例をご覧ください。

【介護体制別】誰が手技を担うかで変わる支援の文例

経管栄養の注入は医行為であり、原則として本人・家族・看護職員が行います(介護職員は一定の研修を修了し登録を受けた場合に限り実施可能)。誰が担うのかによって、組み立てるサービスが変わります。

介護体制 ニーズ 短期目標
同居家族が手技を担う 家族が注入を行っているが不安があるため、安心して続けられるようにしたい 訪問看護から手技・観察点の確認を定期的に受け、家族が自信を持って実施できる
家族が就労している 日中家族が不在の時間帯も、安全に栄養管理を続けたい 日中の注入時間帯に訪問看護を調整し、家族不在時も安全に実施できる
高齢の配偶者が担う 介護する妻(夫)も高齢のため、無理のない範囲で続けられるようにしたい 半固形化栄養剤の検討等により注入の所要時間を短縮し、介護者の拘束時間が減る
独居 一人暮らしだが、胃ろうの管理を受けながら自宅で暮らし続けたい 訪問看護・喀痰吸引等研修修了者による支援体制を整え、必要な注入が実施できる
通所・短期入所を利用したい 介護する家族が休める時間をつくりながら、在宅生活を続けたい 経管栄養に対応できる事業所を確保し、月○回の短期入所を利用できる

通所介護・ショートステイは、経管栄養への対応可否が事業所によって異なります。受け入れ体制を事前に確認したうえで位置づけましょう。家族の負担軽減については家族介護負担軽減の例文集もあわせてご覧ください。

胃ろう・経管栄養のケアプランでよくあるNG例と改善例

NG例 見直したい理由 改善例
(ニーズ)胃ろうがあり経管栄養が必要である 状態の説明であり、本人が望む生活の姿になっていない (ニーズ)胃ろうから栄養をとりながら、住み慣れた自宅で生活を続けたい
(長期目標)胃ろうを抜去して経口摂取に戻る 医学的な見通しを踏まえずに設定すると、達成できない目標になりやすい (長期目標)安全な栄養管理が継続され、体力を保ちながら在宅生活が送れるようになる
(短期目標)家族が注入を行う 家族の行為が目標になっており、本人の状態変化が示されていない (短期目標)家族が手順と観察点を習得し、嘔吐・逆流なく注入が実施できる
(サービス内容)訪問介護による経管栄養の注入 研修修了者・登録事業所でない限り介護職員は実施できず、制度上の誤りとなる (サービス内容)訪問看護による注入の実施・手技確認、訪問介護は体位調整・口腔ケア等を担当
(短期目標)誤嚥性肺炎を起こさない 結果のみの目標で、そのための具体的な行動が示されていない (短期目標)注入時の体位(30度以上挙上)と注入後の姿勢保持、毎日の口腔ケアが継続できる

在宅経管栄養法とは

在宅経管栄養法とは、高齢者や障害の後遺症、重度の精神疾患、認知症の進行などの理由により、重度の嚥下障害、意識障害、食思不振などが生じ、口から栄養摂取が困難な方に行われる栄養確保の手段です。

胃瘻・胃ろうは、業界ではペグ(PEG=Percutaneous Endoscopic Gastrostomy : 経皮内視鏡的胃瘻造設術)という名称で呼ばれ、手術で胃にカテーテルを通して直接栄養剤を注入する手段です。内視鏡や専用の器具(オブチュレータ)を用い、医師が手術で造設します。

参考:胃ろう(ペグ)・経鼻胃管栄養・中心静脈栄養の違いと注意点

 

看護師の方向けに、胃ろう・経管栄養の看護計画(看護目標・OP・TP・EP)の文例は胃ろう・経管栄養の看護計画の文例集にまとめています。

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