
ケアマネ(介護支援専門員)が毎月行うモニタリングは、ケアプランの実施状況を確認し、利用者の状態変化に対応するための重要な業務です。しかし「居宅と施設でどう違うのか」「頻度や記録の基準はどこに書いてあるのか」「2024年改定でテレビ電話が使えるようになったがどんな条件か」といった疑問を持つケアマネも多いのではないでしょうか。
この記事では、居宅介護支援・施設(特養・老健)・介護予防支援それぞれのモニタリングの基準・頻度・記録義務を整理し、実地指導での注意点もあわせて解説します。
モニタリングとは何か
モニタリングとは、ケアプランを作成した後にその実施状況を定期的に確認し、利用者の状態変化やニーズの変化に応じてケアプランの見直しにつなげるケアマネジメントのプロセスです。
ケアマネジメントはPDCAサイクルで成り立っています。
アセスメント(課題の把握)→ケアプランの作成(Plan)→サービスの実施(Do)→モニタリング(Check)→再アセスメント・見直し(Action)という流れを繰り返すことで、利用者の状態に合ったケアが継続されます。モニタリングはこのサイクルの「Check」にあたる重要な工程です。
モニタリングで確認する主な内容は以下の通りです。
- ケアプランに位置づけたサービスが適切に実施されているか
- 目標に対してどの程度達成できているか
- 利用者の心身状態に変化はないか
- 新たなニーズや課題が生じていないか
- 利用者・家族のサービスに対する満足度はどうか
居宅介護支援(在宅ケアマネ)のモニタリング基準
居宅ケアマネのモニタリングについては、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(厚生労働省)に規定されています。
頻度・方法の基準
要介護1〜5の利用者(通常の居宅介護支援)
少なくとも月1回、利用者の居宅を訪問して面接することが義務付けられています。また、月1回以上、モニタリングの結果を記録することも必要です。
要支援1・2の利用者(介護予防支援)
少なくとも3ヶ月に1回、利用者の居宅を訪問して面接することが必要です。記録についても3ヶ月に1回以上が求められます。
なお、介護予防支援については2024年の介護報酬改定により、居宅介護支援事業所が市町村から指定を受けて実施できるようになりました。
2024年介護報酬改定で、テレビ電話でのモニタリングが可能に
2024年(令和6年)の介護報酬改定により、一定の条件を満たした場合にテレビ電話等の情報通信機器を活用したモニタリングが認められるようになりました。これはケアマネの業務効率化と人材の有効活用を目的とした改定です。
テレビ電話モニタリングが認められる条件は以下の通りです。
- サービス担当者会議等において、主治医・担当者など関係者の合意を得ていること
- 利用者の状態が安定していること
- 利用者がテレビ電話等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)
- テレビ電話では収集できない情報を他のサービス事業者との連携により収集すること
- 少なくとも2ヶ月に1回は利用者の居宅を訪問すること(介護予防支援の場合は6ヶ月に1回)
つまり、テレビ電話だけで毎月の訪問を完全に代替できるわけではなく、2ヶ月に1回は実際の訪問が必要です。また、テレビ電話のトラブルで実施できなかった場合は「特段の事情」には該当せず、利用者宅への訪問を実施しなければならないとされています。
参考:居宅介護支援経過・モニタリング訪問記録の様式・内容・書き方
特段の事情による例外
利用者が入院中・施設入所中など、やむを得ない事情(特段の事情)がある場合は、居宅訪問に代えて電話等による確認が認められる場合があります。ただし、特段の事情の内容とその理由を記録しておくことが必要です。
施設ケアマネ(特養・老健)のモニタリング基準
施設ケアマネのモニタリングは、居宅ケアマネとは基準の考え方が大きく異なります。
頻度・方法の基準
特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)のモニタリングについては、それぞれの施設基準(「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」など)に規定されています。
居宅ケアマネの「月1回以上の訪問」という明確な数値基準とは異なり、施設ケアマネのモニタリングは「定期的に入所者と面接して行うこと」「モニタリングの結果を定期的に記録すること」と定められており、具体的な頻度の数値は示されていません。
この「定期的に」というのが曖昧に見えますが、入所者の心身の状況に応じて適切な頻度で行うことが求められており、実際には月1回程度の記録を残している施設がほとんどです。
施設モニタリングの特徴
施設ケアマネは、入所者と同じ建物内で常時関わることができるため、居宅ケアマネとは異なる観点でモニタリングが行われます。
施設モニタリングの特徴として、日常的な観察情報を活用できることが挙げられます。介護職員・看護師・栄養士・理学療法士など他職種が日常的に入所者に関わっているため、これらの情報をモニタリングに活用することが重要です。計画担当介護支援専門員は他のサービス担当者と緊密な連携を図り、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合に円滑に連絡が行われる体制を整えることが求められています。
居宅ケアマネと施設ケアマネのモニタリングの違い
| 居宅ケアマネ(要介護) | 居宅ケアマネ(要支援) | 施設ケアマネ | |
|---|---|---|---|
| 訪問頻度の基準 | 月1回以上 | 3ヶ月に1回以上 | 定期的(頻度の数値基準なし) |
| 記録頻度の基準 | 月1回以上 | 3ヶ月に1回以上 | 定期的(実態は月1回程度) |
| 実施場所 | 利用者の居宅(訪問) | 利用者の居宅(訪問) | 施設内(常時関わることが可能) |
| ICT活用 | 条件付きでテレビ電話可(2024年改定〜) | 条件付きでテレビ電話可(2024年改定〜) | ― |
| 他職種との連携 | サービス担当者等と連携 | サービス担当者等と連携 | 施設内多職種と密接に連携 |
モニタリング記録の義務と実地指導での注意点
記録の保存義務
居宅介護支援のモニタリング記録は、契約期間中はもちろん、契約終了後も2年間の保存が義務付けられています。実地指導(運営指導)では、このモニタリング記録がケアマネジメントの実施状況を示す重要な資料として確認されます。
実地指導で指摘されやすいポイント
実地指導の現場でモニタリングに関して指摘されやすい事項として、以下のものが挙げられます。
①訪問月の記録が残っていない
モニタリングを実施した月に記録が残っていない場合、実施していないとみなされることがあります。訪問した月には必ず記録を作成・保存することが重要です。
②記録が支援経過と同じ内容になっている
「訪問した・変わりなし」という内容の支援経過記録と、モニタリング記録が事実上同じになっているケースが指摘されやすいです。モニタリング記録には目標の達成度・サービスの適切性・今後の方針などを具体的に記載することが求められます。
③目標の評価が書かれていない
モニタリングは単なる「現状確認」ではなく、ケアプランの目標に対する「評価」が求められます。「長期目標・短期目標の達成状況はどうか」という視点で記録することが大切です。
④訪問日・記録作成日が記載されていない
いつ訪問したか・いつ記録を作成したかが明確でない記録は、実地指導で指摘の対象となりやすいです。
⑤特段の事情の記録がない
訪問できなかった月があり、特段の事情を理由にした場合、その事情の内容と理由が記録されていないと問題になります。
まとめ 居宅と施設のモニタリングの違いを正しく理解しよう
ケアマネのモニタリングは、居宅・施設・介護予防支援それぞれで基準が異なります。特に居宅ケアマネは月1回の訪問と記録が原則であり、2024年の改定でテレビ電話の活用が認められましたが、条件と制約があることを理解したうえで運用することが重要です。施設ケアマネは明確な頻度の数値基準はないものの、他職種との連携を密にしながら定期的なモニタリングと記録を実施することが求められます。
実地指導では記録の有無と内容の質の両方が確認されます。「訪問した証拠」としての記録だけでなく、目標の評価・今後の方針を盛り込んだ質の高い記録を心がけましょう。
モニタリング記録の文例集
このサイトでは、居宅・施設それぞれのモニタリング記録の文例集もあります。テーマ別のモニタリング記録の文言例をコピペで使えるようにまとめていきますので、あわせてご活用ください。(ご利用に際しては状態観察を適切に行った上でご利用ください。)
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