認知症のケアプラン文例|ニーズ・長期目標・短期目標の例文集【アルツハイマー型・レビー小体型・血管性対応】

認知症の利用者に対して作成するケアプランのニーズ・長期目標・短期目標の例文・文言集です。

居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成する際に直面する様々な課題を解決するためのお手伝いをします。

・認知症のご利用者に関してニーズや目標の文例や記入例を見ながら、ケアプランや計画書作成をスムーズに進めたい方へ
・監査や実地指導での指摘を避け、安心して業務に取り組みたい方へ

認知症の利用者に関するケアプランでは、アセスメントや家族の移行が重要です。アセスメントに基づいて文言を考える中で、居宅介護支援事業所のケアマネが作る居宅サービス計画の第2表や施設ケアマネのケアプラン、通所介護やデイケアなどの目標の参考例としてお使いください。

認知症の利用者に関するニーズ・長期目標・短期目標例文一覧

ケアマネジメントの手法として認知症であることを考慮する必要はありますが、認知症があるからこうしなければならないという疾患で決めつけるようなケアプランの作り方はよくありません。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
自宅で安心して生活したい 自宅での生活が安全に継続できるようになる 自宅の安全性を高めるための措置を講じる
外出して人と交流したい 他者との交流が増え、社会参加が活発になる 地域のイベントに月1で参加する
日常生活動作を自立して行いたい 日常生活動作の自立度が向上する 食事、着替えの自立支援プログラムに参加する
認知症の進行を遅らせたい 認知症の進行が遅延する 記憶力向上のためのトレーニングに取り組む
安眠できるようになりたい 夜間の安定した睡眠が得られるようになる 就寝前のリラクゼーション習慣を身につける
孫とのコミュニケーションを楽しみたい 家族とのコミュニケーションが豊かになる 家族行事に積極的に参加する
おいしい食事を自宅で楽しみたい 栄養バランスの取れた食事を自宅で取れるようになる 週に1回は栄養士による食事プランを立てる
趣味の園芸を続けたい 園芸活動を通じて生きがいを感じる 園芸クラブに月1で参加する
身体機能を向上させたい 身体機能が全般的に向上する 定期的にリハビリテーションに参加する
介護者の負担を軽減させたい 介護者のストレスが軽減される 家族介護者支援プログラムに家族が参加する
毎日を充実させたい 日々の生活において充実感を感じることができる 趣味や興味に基づいた活動に定期的に取り組む
服薬の管理をしっかりと行いたい 服薬管理が正確に自立して行えるようになる 薬の管理方法に関する教育プログラムに参加する
スーパーマーケットでの買い物を一人でできるようになりたい 一人で必要な買い物を完了できるようになる 近所のスーパーマーケットの地図を覚え、買い物リストを作成する
地元の友人と週に1回は会ってお茶がしたい 地域コミュニティでの社交活動が活発になる 地元のカフェでの定期的な友人とのミーティングを設定する
ペットとの散歩を毎日続けたい ペットとの散歩を通じて毎日の運動量を増やす 安全な散歩コースを見つけ、毎日の散歩スケジュールを作成する
週に2回は自炊をして、栄養バランスの良い食事を取りたい 自炊による健康的な食生活が定着する 簡単で健康的なレシピを集め、食材の買い出し計画を立てる
身体機能の維持・向上のために週に3回は水泳をしたい 定期的な水泳によって身体機能が向上する 最寄りのプールの会員になり、水泳クラスに登録する
孫への読み聞かせを楽しみたい 孫との絆を深める読み聞かせができるようになる 絵本の選定と読み聞かせの練習をする
認知症の進行を抑えるために脳トレアプリを毎日使いたい 脳トレによって認知機能の維持・向上を目指す 脳トレアプリを選定し、毎日の練習スケジュールを立てる
通院時の外出がスムーズに行えるようになりたい 一人での通院が安全にスムーズにできるようになる 通院ルートを確認し、必要な場合は介護タクシーを利用する
夜間にトイレに安全に行けるようになりたい 夜間のトイレ使用時の安全が確保される 夜間用の照明を設置し、トイレまでの安全なルートを確保する
日々の記憶を記録し、思い出を綴るために日記をつけたい 日記を通じて日々の出来事と感情を振り返る 日記のフォーマットを選び、毎日書く時間を確保する
地域の清掃活動に参加して、地域貢献をしたい 地域社会への積極的な貢献ができるようになる 地域清掃活動のスケジュールを調べ、参加する
家族とのオンライン通話を毎週楽しみたい オンラインでの家族とのコミュニケーションが定着する オンライン通話アプリの使用方法を学び、定期的な通話スケジュールを設定する
趣味の絵画活動を再開したい 絵画を通じて趣味の時間を充実させる 絵画用品を揃え、週に1回の絵画時間を設ける
新しい言語を学び始めたい 基礎レベルの会話能力を身につける 言語学習アプリを利用し、毎日練習する
地元の歴史について学び、散策を楽しみたい 地元の歴史知識が深まり、散策がより楽しめるようになる 地元の歴史に関する書籍を読み、関連スポットを訪れる
運転が不安なので、運転スキルを向上させたい 安全運転のスキルが向上する 運転スクールに通い、必要なトレーニングを受ける
足腰を強くして、階段の昇降を楽にしたい 足腰の筋力が向上し、階段の昇降が楽になる 階段昇降トレーニングを日常に取り入れる
美術館や博物館への訪問を月に1回は行いたい 文化活動を通じて精神的な充実を図る 訪問したい美術館や博物館をリストアップし、訪問計画を立てる
オンラインでの料理教室に参加して、料理の腕を上げたい 料理の技術が向上し、家族や友人に美味しい料理を振る舞えるようになる オンライン料理教室を選び、定期的に参加する
誰かが自分の物を盗んでいると感じてしまう 被害妄想が減少し、安心して生活できるようになる 日記をつけて、日々の出来事を記録・確認する
家の中での不潔な行為が増えてしまった 清潔な生活環境を維持できるようになる 毎日の身の回りの清掃ルーチンを確立する
近所の人とのトラブルが絶えない 社会的な関係性が改善され、トラブルが減少する 地域のコミュニティセンターでの交流活動に参加する
家族との会話中にしばしば怒りっぽくなる 家族とのコミュニケーションが穏やかになる コミュニケーションスキル向上のためのカウンセリングを受ける
公共の場で声を大にしてしまう 公共の場での適切な振る舞いができるようになる 自己調整スキルを高めるための療育プログラムに参加する
自分の部屋を汚し続け、清掃を拒否する 個人の空間の清潔を維持する自己管理能力が向上する 定期的な家事支援サービスを利用する
他人の言動を常に監視し、疑ってしまう 他人への過度な警戒心が和らぎ、信頼感が持てるようになる 相互理解を深めるグループセラピーに参加する
街中で見知らぬ人に怒鳴りつけてしまう 衝動的な行動を控え、社会的な適応力を高める ストレスマネジメント技術を学ぶ
人の物を勝手に使い、返さないことがある 物の所有権に対する理解を深め、尊重できるようになる 所有権に関する教育プログラムに参加する
常に人が自分を見て笑っていると感じる 誤解や被害妄想からの解放、自尊心の向上 セルフエスティームを高めるワークショップに参加する

疾患型別のニーズ・長期目標・短期目標の文例

認知症は原因疾患によって症状の特徴が異なるため、ケアプランでも押さえるポイントが変わります。代表的な4つの疾患型別に文例をまとめました。

アルツハイマー型認知症の文例

記憶障害を中心に緩やかに進行するのが特徴です。「できないこと」を数えるのではなく、残っている力を活かす目標設定を心がけます。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
物忘れが増えてきたが、慣れた自宅での生活を続けたい 適切な支援を受けながら、住み慣れた自宅での生活が継続できるようになる 服薬・食事・受診の声かけ支援を受けながら、日常生活のリズムを維持できる
同じことを何度も聞いてしまうが、安心して人と関わりたい 否定されない関わりの中で、穏やかな気持ちで人との交流が続けられるようになる デイサービスで本人のペースに合わせた声かけを受け、安心して過ごせる
日付や予定が分からなくなるため、混乱せずに生活したい 生活環境の工夫により、混乱が少ない状態で生活できるようになる カレンダー・メモの活用と定期的な声かけにより、その日の予定が確認できる
料理の手順が分からなくなってきたが、できる家事は続けたい 残っている力を活かしながら、役割を持って生活できるようになる ヘルパーと一緒に調理を行い、本人ができる工程(盛り付け・片付け等)を継続できる

レビー小体型認知症の文例

幻視・パーキンソン症状・症状の変動が特徴で、転倒リスクが非常に高い疾患型です。幻視を否定しない関わりと、転倒予防をセットで位置づけるのがポイントです。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
人や虫が見えて不安になることがあるため、安心して過ごしたい 幻視による不安が軽減され、落ち着いて生活できるようになる 幻視の訴えを否定しない対応を受け、不安時に安心できる声かけをもらえる
体が動きにくく転びやすいため、転倒しないよう安全に生活したい 転倒予防の環境と支援が整い、骨折なく生活が続けられるようになる 手すり・照明の整備と歩行時の見守りにより、転倒なく屋内を移動できる
調子の良い時と悪い時の差が大きいため、その時々に合わせた支援を受けたい 状態の変動に応じた柔軟な支援により、安定した生活が送れるようになる その日の状態をサービス事業所間で共有し、体調に合わせた介助を受けられる
薬に敏感な体質のため、体調の変化を見守ってもらいながら治療を続けたい 医療と介護の連携により、体調が安定した状態で生活できるようになる 服薬後の体調変化を各サービスで観察し、変化があれば速やかに主治医に報告できる

血管性認知症の文例

脳梗塞・脳出血の後遺症として現れ、「まだら認知症」と呼ばれる症状のむらや、意欲低下・感情失禁がみられることがあります。再発予防の視点も欠かせません。基礎疾患の管理は脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)の例文集もあわせてご覧ください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
できることとできないことの差が大きいが、できることは自分で行いたい 本人の力が発揮できる場面が維持され、自信を持って生活できるようになる できる動作・できない動作を各サービスで共有し、必要な部分だけ介助を受けられる
脳梗塞を再発させないよう、体調管理をしながら生活したい 血圧管理と服薬継続により、再発なく在宅生活が続けられるようになる 毎日の血圧測定と服薬確認の支援を受け、数値を記録できる
やる気が出ない日が多いが、少しずつでも活動する機会を持ちたい 活動の機会が確保され、意欲の低下を防ぎながら生活できるようになる 本人の好きな活動(囲碁・音楽等)を取り入れたデイサービスに週2回通える

前頭側頭型認知症の文例

常同行動やこだわり、社会的なルールの理解が難しくなるなどの特徴があります。行動を止めるのではなく、安全な形で行動パターンを活かす支援が有効です。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
毎日同じ時間に同じ行動をしないと落ち着かないため、その習慣を尊重してほしい 本人の生活パターンが尊重され、混乱なく穏やかに生活できるようになる 毎日の決まった日課をケアに組み込み、落ち着いて過ごせる
決まったコースを歩き続けることがあるため、安全に見守ってほしい 行動パターンに合わせた見守り体制により、安全に生活できるようになる 散歩コースを地域・事業所と共有し、安全に日課の散歩が継続できる
思い通りにならないと大きな声が出てしまうため、周囲に理解してもらいながら過ごしたい 本人の特性が周囲に理解され、トラブルなく穏やかに過ごせるようになる 本人が落ち着ける環境・関わり方を事業所間で統一できる

BPSD(行動・心理症状)の場面別文例

徘徊・介護拒否・昼夜逆転などのBPSDは、ご家族の介護負担に直結するテーマです。症状を「問題行動」と捉えるのではなく、本人なりの理由がある行動として、背景に配慮した表現を心がけましょう。

徘徊・帰宅願望への対応

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
外に出て行って道が分からなくなることがあるため、安全に暮らしたい 見守り体制が整い、事故なく安全に生活できるようになる GPS機器の活用と近隣・事業所の見守りネットワークにより、外出時の安全を確保できる
夕方になると家に帰りたい気持ちが強くなるため、不安なく過ごしたい 不安が和らぐ関わりにより、落ち着いて過ごせる時間が増えるようになる 夕方の不安な時間帯に役割(洗濯物たたみ等)や好きな活動を取り入れ、落ち着いて過ごせる

介護拒否・入浴拒否への対応

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
入浴を嫌がることが多いが、清潔は保って気持ちよく過ごしたい 本人のペースを尊重した関わりにより、清潔保持が継続できるようになる 本人が安心できるスタッフ・タイミングでの声かけにより、週1回以上入浴できる
手伝われることを嫌がるが、必要な支援は受けながら生活したい 本人が受け入れられる形での支援が定着し、安全に生活できるようになる 本人のプライドに配慮した声かけ(「手伝う」ではなく「一緒に行う」)で支援を受け入れられる

服薬管理が難しい場合

服薬管理全般の文例は服薬管理のニーズ・長期目標・短期目標の例文集にもまとめています。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
薬を飲んだかどうか分からなくなるため、確実に服薬できるようにしたい 服薬支援の体制が整い、飲み忘れ・重複なく治療が継続できるようになる 服薬カレンダーとヘルパー・家族の声かけにより、毎日決まった時間に服薬できる
薬を飲むことを嫌がるため、無理なく服薬を続けたい 本人が抵抗なく服薬できる方法が確立され、体調が安定するようになる 薬剤師と相談し、服薬回数や形状の調整(一包化等)により服薬を継続できる

昼夜逆転への対応

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
昼夜が逆転しがちなため、生活リズムを整えて夜は眠れるようになりたい 昼間の活動と夜間の睡眠のリズムが整い、規則正しい生活が送れるようになる デイサービスで日中の活動量を確保し、夜間に眠れる日を増やせる
夜間に起きて活動するため、家族が眠れず困っている 夜間の対応体制が整い、本人・家族ともに休息がとれるようになる ショートステイの定期利用等により、家族の睡眠時間を確保できる

デイサービス・ショートステイを利用する場合の文例

認知症の方がサービスを利用する場合は、「環境の変化への配慮」を目標に織り込むのがポイントです。ショートステイの詳しい文例はショートステイのケアプラン文例をご覧ください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
新しい場所は混乱しやすいが、少しずつ慣れて楽しく通いたい なじみの環境・人間関係ができ、安心してサービスを利用できるようになる 同じ曜日・同じスタッフの対応を継続し、混乱なくデイサービスに通える
認知症対応の専門的なケアを受けながら、症状の進行を穏やかにしたい 専門的なケアにより症状が安定し、在宅生活が継続できるようになる 認知症対応型デイサービスに週2回通い、本人に合ったプログラムに参加できる
家族の休息のため泊まりのサービスも使いたいが、本人が混乱しないか心配 本人に合った利用方法が定着し、家族の介護負担が軽減されるようになる 短時間・少ない泊数から利用を始め、環境に慣れながらショートステイを利用できる

独居・老々介護の認知症ケースの文例

独居や老々介護の認知症ケースでは、見守りネットワークの構築と緊急時対応が目標の柱になります。独居高齢者全般の文例は独居高齢者のニーズ・長期目標・短期目標の例文集にまとめています。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
一人暮らしで物忘れが増えてきたが、住み慣れた家で暮らし続けたい 地域とサービスの見守り体制のもと、独居生活が安全に継続できるようになる 毎日いずれかのサービス・見守りが入る体制を整え、安否と体調の確認ができる
火の始末が心配になってきたため、安全に食事の支度をしたい 安全な調理環境が整い、火災の心配なく食生活が維持できるようになる IH調理器・自動消火装置の導入と配食サービスの併用により、安全に食事がとれる
高齢の夫婦二人暮らしのため、お互いに無理なく生活を続けたい 夫婦それぞれに必要な支援が入り、共倒れなく在宅生活が継続できるようになる 介護者の負担が大きい家事・入浴支援をサービスで補い、夫婦での生活を維持できる

認知症の利用者に関するニーズ・長期目標・短期目標を立案するポイント

認知症と診断がついていても認知症の程度は様々です。在宅生活でも施設生活でも、まずは認知症の中核症状である記憶障害や言語想起などの状態を確認する必要があります。

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などで簡易的に状態を知ることもできますが、これらの検査はあくまでもスクリーニングであり、結果をもとに医療機関につなぐようにしましょう。認知症の場合には、内服や精神療法などで症状が出にくくなることもあるため、それらがケア方針に関わることもあります。

合わせて認知症の行動心理症状であるBPSDの状態の確認して、どんな時に落ち着いていられるのか、ご本人らしくいられるのかなどをご家族などにもヒアリングしながらアセスメントして整理していきましょう。

認知症の行動心理周辺症状「BPSD」とは?BPSD評価指標・スケール

認知症の程度によっては、認知症疾患医療センターで専門的な診断や対応方法を専門医や相談員を交えて相談したり、重度認知症患者デイケアを利用することなども選択肢になります。医療機関との情報共有や連携はケアマネの範囲を超えることもありますが、利用者の中長期との関わりで悩み続けるよりは、利用者や家族のためにも早めに専門機関につないでおき、それを踏まえたケア方針を立てる方がよいでしょう。

認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準・覚え方・留意点

重度認知症患者デイケアと認知症疾患医療センターのリハビリ

認知症の中でも多いアルツハイマー型認知症では、進行度・重症度がある程度の型になっており、7段階で整理されています。アルツハイマー型認知症ステージ分類「FAST(Functional Assessment Staging)」は、認知症の「今」を把握するだけでなく、「これから」を見通して先回りのケアにつなげられる、現場でとても実用的なツールです。

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