
介護の仕事をしていると入浴介助の役割が回ってくることがあります。週に二回くらいしか入浴に入れないというのが今の介護保険の制度上の基準になっているので、たった週に二回の入浴だからみんな楽しみにしているのかと思いきや、「○○さん、お風呂ですよ」と声をかけると何かいろいろ理由をつけておふろに入らないという方がいることに最初は驚くと思います。
慣れてくると「○○さーん、ニューヨークに行きますよ~」とか、「いい湯になってますよ~」とかでなんてことなく入ってくれるという風になってくる人も多いですが、コツをつかむまでは非常に大変で、場合によってはひっぱたかれたり暴力を振るわれたり叫ばれたりします。寝たきりの人の入浴介助よりも、動ける認知症や精神疾患の人の入浴介助の方が大変という現場の声もかなり多いです。
この記事では、入浴拒否のある利用者について、ケアプランに書くニーズ・長期目標・短期目標の文例をまとめました。あわせて、「声をかけ続けること」自体をサービス内容として位置づける書き方も載せています。
・入浴拒否のある利用者のプランに何と書けばよいか迷っている居宅ケアマネ・施設ケアマネの方へ
・現場から「拒否されるので入れられません」と相談を受けている方へ
なぜ「声かけ」をプランに書く必要があるのか
入浴拒否のあるケースでいちばん困るのは、現場が「本人が拒否したので入浴しませんでした」で止まってしまうことです。
ここには現場の側に悪気はありません。本人が嫌がっているのに無理に入れれば身体拘束や虐待につながりますし、叩かれたり叫ばれたりしながらの介助は職員の負担も大きい。だから「今日は拒否されたので中止」という判断は、その場では間違っていないのです。
問題は、それが毎回続いて一度も入浴できない月が生まれることです。皮膚トラブルが起きたり、においで家族や他の利用者との関係に影響が出たり、本人の尊厳そのものが損なわれていきます。
ここで効くのが、ケアプランへの書き方です。第2表のサービス内容に「入浴介助」とだけ書いてあると、拒否された時点で業務が終わります。これに対して、「本人が受け入れやすいタイミングと声かけで誘導する」「一度断られてもその日のうちに時間を変えて再度声をかける」と書いてあれば、声をかけ直すことが業務として成立します。
つまり、プランに書くことで現場の行為に根拠が生まれます。職員は「しつこくしている」のではなく「計画に沿って支援している」ことになる。この違いは、現場の心理的な負担にも、運営指導で説明するときにも大きく働きます。
もうひとつ大事なのは、目標を「入浴できる」にしないことです。拒否のある方に「週2回入浴できる」と書くと、達成できない目標が据え置かれ続けます。目標は「清潔が保てる」「本人が納得できる方法で清潔保持ができる」に置き、入浴はその手段のひとつとして扱う。こうしておけば、清拭や部分浴に切り替えた月も目標に向かって進んでいることになります。
入浴拒否の理由を見極める
「入浴拒否」とひとことで言っても、理由はまったく違います。理由が違えば打つ手も変わるので、ここを飛ばしてプランを書くとどうしても「声かけを工夫する」という漠然とした内容になってしまいます。
現場でよく出会う背景を整理しました。
| 背景 | よく聞かれる言葉・見られる様子 | 支援の方向 |
|---|---|---|
| 認知症の中核症状 | 「もう入った」「今日は入らない」。入浴の必要性や前回いつ入ったかが分からない | 説明で納得を得るより、自然に浴室まで足が向く流れをつくる |
| 羞恥心・プライド | 「人に裸を見られたくない」「自分でできる」。異性の職員のときだけ強く拒む | 同性介助、タオルでの配慮、できる動作は任せる |
| 過去の不快な体験・怖さ | 浴室の前で立ち止まる、機械浴を見ると身構える、湯をかけられると叫ぶ | 手順を変える、怖さの引き金になっている工程を特定する |
| 身体的な苦痛 | 「痛い」「疲れる」「寒い」。脱衣に時間がかかり、終わるとぐったりする | 痛みの管理、入浴時間の短縮、脱衣所の暖房、用具の活用 |
| 意欲低下・うつ傾向 | 「どうでもいい」「放っておいて」。入浴だけでなく整容や食事にも関心が薄い | 医療につなぐ判断も含める。入浴単独の課題として扱わない |
| 精神疾患・妄想 | 「お湯に薬が入っている」「盗られる」。特定の職員や場面に強く反応する | 主治医と連携し、本人が安心できる条件を見つける |
| 生活習慣・こだわり | 「夜しか入らない」「毎日入らないと気持ち悪い」「風呂より行水」 | これまでの入浴習慣を聞き取り、できる範囲で合わせる |
| 環境・タイミング | テレビを見ている時間、食後すぐ、眠い時間に声をかけると必ず断られる | 断られない時間帯を記録から特定する |
アセスメントで押さえておきたいのは、「いつもは拒否するのに、入ってくれた日は何が違ったのか」です。担当者が違った、時間が違った、声のかけ方が違った。この違いが分かれば、それがそのままサービス内容に書ける支援方法になります。断られた記録だけでなく、うまくいった日の記録もサービス事業所に残してもらうよう頼んでおきたいところです。
【理由別】ニーズ・長期目標・短期目標の文例
認知症があり入浴の必要性が分からない場合
説明して納得してもらうことを目標にすると行き詰まります。理解してもらうのではなく、気がついたら浴室にいる流れをつくる方向で書きます。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| お風呂に入ったことを忘れてしまうが、気持ちよく清潔に過ごしたい | 本人のペースを尊重した関わりにより、清潔が保たれた生活が続けられるようになる | 本人が応じやすい声かけと誘導により、週2回入浴できる日が確保できる |
| 誘われても断ってしまうが、さっぱりした状態で過ごしたい | 無理のない方法での清潔保持が習慣となり、皮膚トラブルなく過ごせるようになる | 断られた際に時間を変えて再度誘う対応により、入浴につながる回数が増える |
| 言われていることが分かりにくいため、安心できる関わりの中で入浴したい | なじみの関係の中で安心して入浴でき、清潔な状態が維持できるようになる | なじみの職員が一対一で対応することで、混乱なく浴室へ移動できる |
| 浴室に入ると落ち着かなくなるため、穏やかに入浴を終えたい | 落ち着いて入浴できる環境が整い、入浴が苦痛な時間にならずに済むようになる | 浴室の人数・音・明るさを調整し、落ち着いて入浴を終えられる |
羞恥心・プライドから拒んでいる場合
「恥ずかしい」とは言わず、別の理由をつけて断ることが多いところです。本人の言葉をそのまま拾いつつ、尊厳への配慮を目標に織り込みます。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 人に裸を見られるのが嫌なので、できる限り自分で体を洗いたい | 自分でできる部分を保ちながら、清潔が維持された生活が続けられるようになる | 洗身は自分で行い、背部と洗髪のみ介助を受けて入浴できる |
| 世話をされるのが情けないと感じるため、気兼ねなく入浴したい | 自尊心が保たれた形で入浴が継続でき、清潔な生活が送れるようになる | 必要最小限の介助とタオルでの配慮により、抵抗なく入浴できる |
| 男性の職員に手伝われるのは抵抗があるため、安心して入浴したい | 本人が安心できる体制で入浴が継続され、清潔が保たれるようになる | 同性の職員が担当することで、拒否なく入浴できる |
| ほかの人がいる場所で裸になりたくないので、落ち着いて入浴したい | プライバシーが守られた環境で入浴でき、清潔な状態が維持できるようになる | 個浴または他の利用者と重ならない時間帯での入浴ができる |
怖さ・過去の不快な体験がある場合
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 浴室が怖いと感じるため、安心できる方法で体を清潔にしたい | 怖さが和らぎ、安心して清潔保持ができる生活が続けられるようになる | 浴室に入るまでの手順を一定にし、説明を受けながら不安なく入浴できる |
| 急に体にお湯をかけられるのが嫌なので、ゆっくり入浴したい | 本人のペースに合わせた入浴が定着し、抵抗なく清潔が保てるようになる | 声をかけて確認しながら、足元から順に湯をかける方法で入浴できる |
| 機械のお風呂は怖いので、自分に合った方法で入浴したい | 本人が受け入れられる入浴方法が確立し、清潔が維持できるようになる | チェア浴やシャワー浴など、本人が落ち着いて受けられる方法を見つけられる |
痛み・疲れ・寒さなど身体的な理由がある場合
この背景は見落とされやすいところです。本人が「面倒だ」と言っていても、実際には動くと痛い、終わると疲れ果てるという場合があります。入浴拒否として扱う前に、身体面の確認が必要です。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 動くと膝が痛むため、痛みを抑えながら入浴したい | 痛みが緩和され、負担の少ない方法で入浴が継続できるようになる | 服薬の時間を調整し、痛みの少ない時間帯に入浴できる |
| 入浴すると疲れてしまうため、負担の少ない形でさっぱりしたい | 体力に見合った方法で清潔が保たれ、疲労なく過ごせるようになる | 入浴時間を短縮し、脱衣から着衣まで15分程度で終えられる |
| 脱衣所が寒くて入る気になれないため、快適に入浴したい | 入浴環境が整い、季節を問わず入浴が継続できるようになる | 脱衣所と浴室の暖房により、寒さを理由に断ることがなくなる |
| 浴槽の出入りが不安なので、安心して入浴したい | 安全な入浴が継続でき、転倒なく清潔が保たれるようになる | 手すりとシャワーチェアの使用により、不安なく入浴できる |
用具の選定理由の書き方はシャワーチェア・入浴補助用具のケアプラン文例|ニーズ・目標と選定理由にまとめています。
意欲低下・うつ傾向がみられる場合
入浴だけでなく、整容や食事、他人との関わりにも関心が薄くなっている場合は、入浴の課題として処理せず医療につなぐ判断を目標に入れるほうが適切です。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 何もする気になれない状態が続いているが、身の回りを整えて過ごしたい | 心身の状態が回復し、身の回りを整える生活が送れるようになる | 主治医の受診につながり、状態に応じた助言を受けながら清潔保持ができる |
| 気分が落ち込んで入浴どころではないため、まずは体調を整えたい | 気分の落ち込みが和らぎ、生活の張りを取り戻せるようになる | 無理に促さず、体調の良い日に清拭や部分浴で清潔を保てる |
意欲面の文例は意欲向上・生きがいのケアプラン文例もあわせてご覧ください。
精神疾患や妄想が背景にある場合
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| お風呂に不安を感じることがあるため、安心できる状況で入浴したい | 不安が軽減された状況で入浴が継続でき、清潔が保たれるようになる | 本人が信頼する職員の立ち会いにより、不安の訴えなく入浴できる |
| 調子に波があるため、その時の状態に合わせて清潔を保ちたい | 状態に応じた柔軟な対応により、清潔保持が途切れずに続けられるようになる | 調子の良い日に入浴、難しい日は清拭に切り替える対応が定着する |
| 服薬の影響で体が動きにくい日があるため、無理のない入浴をしたい | 服薬状況に合わせた入浴ができ、負担なく清潔が維持できるようになる | 服薬後の状態を確認し、動きやすい時間帯に入浴できる |
これまでの生活習慣・こだわりがある場合
施設や通所の都合で時間が決まっていると見落としがちですが、「夜に入る習慣だった」「毎日入らないと落ち着かない」という方もいます。本人の習慣を聞き取ること自体が支援になります。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 昔から夜に入る習慣だったので、できればその時間に入浴したい | 本人の生活習慣に沿った入浴ができ、納得して清潔が保てるようになる | 希望する時間帯での入浴が可能なサービスを調整し、抵抗なく入浴できる |
| 毎日入らないと気持ちが悪いため、できるだけ回数を確保したい | 本人が満足できる頻度で清潔保持ができ、快適に過ごせるようになる | 入浴日以外は手浴・足浴や清拭を組み合わせ、毎日さっぱりできる |
| 湯船につかる習慣がないので、自分のやり方で体を清潔にしたい | 本人のやり方が尊重され、清潔が保たれた生活が続けられるようになる | シャワー浴または清拭で、本人の納得できる方法で清潔保持ができる |
拒否が続き、入浴が難しい状態が続いている場合
どうしても入浴につながらない時期もあります。そのときに「週2回入浴できる」という目標を据え置くと、現場も家族も追い込まれます。清潔保持の手段を広げる形で目標を書き換えるのが現実的です。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| お風呂には入りたくないが、気持ちよく過ごしたい | 本人が受け入れられる方法で清潔が保たれ、皮膚トラブルなく生活できるようになる | 清拭・手浴・足浴・部分洗いを組み合わせ、週3回以上清潔保持ができる |
| においが気になると言われるのはつらいので、人前に出られる状態でいたい | 身体の清潔と身だしなみが保たれ、人と関わる場に出られるようになる | 陰部・足・頭部の部分洗いを定期的に行い、においの訴えがなくなる |
| 無理強いされるのは嫌なので、自分のペースで清潔を保ちたい | 本人の意向が尊重されながら、清潔が維持された生活が続けられるようになる | 声をかけて断られた場合も清拭で対応し、清潔が途切れない状態を保てる |
| 皮膚がかゆくなるのは困るので、肌の調子を整えたい | 皮膚の状態が改善され、かゆみなく快適に過ごせるようになる | 清拭後の保湿を継続し、掻き傷や発赤が生じない状態を保てる |
皮膚面の文例は皮膚トラブル(湿疹・皮膚炎・スキンケア)のケアプランをご覧ください。
第2表「サービス内容」に声かけの工夫を書く
ここが入浴拒否のプランでいちばん差が出るところです。「入浴介助」で終わらせず、どう声をかけ、断られたらどうするかまで書くと、現場が動けるプランになります。
| 短期目標 | サービス内容の記載例 | サービス種別 |
|---|---|---|
| 本人が応じやすい声かけと誘導により、週2回入浴できる日が確保できる | 入浴の声かけ・誘導(本人が応じやすい言い方で誘う/一度断られた場合は時間を変えて改めて声をかける)、入浴介助(洗身の一部介助・洗髪・浴槽の出入り介助) | 通所介護 |
| なじみの職員が一対一で対応することで、混乱なく浴室へ移動できる | 担当職員を固定した声かけと浴室までの付き添い、他の利用者と重ならない時間帯の調整、入浴介助 | 通所介護・施設 |
| 洗身は自分で行い、背部と洗髪のみ介助を受けて入浴できる | できる動作は見守り、背部の洗身と洗髪のみ介助。タオルで覆いながらの介助と同性介助の配慮 | 訪問介護(身体介護) |
| 痛みの少ない時間帯に入浴できる | 服薬後の状態を確認したうえでの入浴の提案、入浴前後のバイタル確認、痛みの訴えがあれば中止して清拭に変更 | 通所介護・訪問看護 |
| 声をかけて断られた場合も清拭で対応し、清潔が途切れない状態を保てる | 入浴の声かけを行い、応じない場合は清拭・手浴・足浴に切り替えて実施。対応した内容と本人の反応を記録し担当CMへ報告 | 訪問介護・通所介護 |
| 浴室の人数・音・明るさを調整し、落ち着いて入浴を終えられる | 入浴の順番を調整し、他者と重ならない時間に実施。浴室内の声量を抑え、手順を一定にした介助 | 施設・通所介護 |
書き方のポイントは3つあります。
断られたあとの対応まで書くこと。「一度断られた場合は時間を変えて改めて声をかける」の一文があるかないかで、現場の動きが変わります。
うまくいっている方法を固有名詞で書くこと。「本人が応じやすい言い方」だけでは伝わりません。アセスメントで分かっているなら「『いい湯が入りましたよ』と伝えると応じやすい」「食後より午前中のほうが応じる」と具体的に書きます。担当者が交代したときにも引き継がれます。
切り替えの基準も書くこと。何回声をかけても応じないときにどうするのか(清拭に変える、次回に回す、家族に連絡する)を決めておくと、現場が判断に迷いません。
なお、訪問介護で「声かけだけ」を単独のサービスとして位置づけることはできません。入浴介助に伴う声かけ・誘導として、身体介護の中に含める形で書きます。
施設ケアプランでの書き方
施設では24時間の生活すべてが計画の範囲になるため、入浴の時間だけを切り取らない書き方ができます。
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| お風呂を嫌がってしまうが、さっぱりした状態で過ごしたい | 本人が受け入れられる方法で清潔が保たれ、穏やかに施設での生活が続けられる | なじみの職員による声かけと時間帯の調整により、週2回の入浴につながる日が増える | 担当職員を固定した声かけ、応じやすい時間帯での誘導、応じない場合は清拭に切り替えて実施。効果のあった対応をユニット内で共有する |
| 知らない人に体を触られるのは嫌なので、安心して過ごしたい | 安心できる関係の中で身体の清潔が保たれ、不安なく生活できる | 顔なじみの職員の対応により、抵抗を示すことなく入浴・整容ができる | 入浴担当を可能な範囲で固定、同性介助、介助前の声かけと同意の確認 |
施設で効くのは対応方法をユニットや事業所内で統一することです。ある職員のときだけ入ってくれる状態は、その職員が休むと途切れます。うまくいった声かけ・時間帯・手順を記録に残して共有し、誰が担当しても同じ対応ができる状態を目指します。これはケアプランの「サービス内容」に書いておくべき内容でもあります。
施設の入浴に関する文例は施設ケアプラン・入浴のニーズ・長期目標・短期目標の例文集、認知症のBPSDへの対応は施設ケアプラン「認知症・BPSD」の例文集にまとめています。
居宅(訪問介護・デイサービス)での書き方
居宅の場合、入浴の場がどこなのかによって書き方が変わります。
| 入浴の場 | プランに書くときの要点 |
|---|---|
| デイサービス | 送迎から入浴までの流れの中で声をかける。デイでの入浴を拒むのか、デイ自体を拒むのかを切り分ける |
| 訪問介護(自宅の浴室) | 同性介助・できる動作の線引きを明記。自宅の慣れた環境が強みになる場合がある |
| 訪問入浴介護 | スタッフが複数来ることへの抵抗がないかを確認。看護職員が同行するため体調面の不安がある方には向く |
| 家族が介助 | 家族が声をかけると拒むが他人なら応じる(逆もある)という傾向を確認。家族の負担も目標に入れる |
家族が介助しているケースでは、入浴拒否が家族の疲弊に直結します。「お風呂に入ってくれない」という相談の裏に、毎回の言い合いで疲れ切っている家族がいることは珍しくありません。本人の清潔保持と家族の負担軽減を、両方プランに位置づけておきます。家族支援の文例は家族介護負担軽減のケアプラン文例をご覧ください。
拒否が続いたときの記録の残し方
入浴できなかった月があること自体は、記録が残っていれば問題にはなりません。困るのは「入浴の記録がない理由が分からない」状態です。
残しておきたいのは次の内容です。
・声をかけた日時と、本人の反応(断った言葉、表情、様子)
・声かけを変えて再度試みたか、その結果
・入浴に代えて何を行ったか(清拭、手浴、足浴、更衣など)
・皮膚の状態の確認結果
・家族への報告と、家族の反応
・担当者会議やサービス事業所との情報共有の経過
支援経過記録の文例:
「○月○日、○○デイサービス生活相談員△△氏より連絡。本日の利用時、入浴の声かけに対し『今日はいい』との返答があり、時間を変えて2回声をかけたが応じられず。清拭と足浴で対応し、皮膚の異常はなかったとの報告。長女に電話で報告したところ『家でも同じで困っている』との話があり、入浴の方法について次回の担当者会議で検討することとした。」
「○月○日、モニタリング訪問。前月の入浴回数は2回(声かけ8回のうち2回応じられた)。応じた2回はいずれも午前中で、担当が△△職員のときだった。本人に確認すると『あの人は優しい』との発言あり。デイサービスに対し、可能な範囲で入浴担当を△△職員に固定することと、午前中の時間帯で誘導することを依頼した。」
モニタリングの記録例は居宅ケアマネの「モニタリング記録」の文例集、支援経過の書き方は支援経過記録の書き方と記入例にまとめています。
入浴拒否のプランでよくあるNG例と改善例
| NG例 | 見直したい理由 | 改善例 |
|---|---|---|
| (ニーズ)入浴を拒否する | 本人を問題のある人として書いており、望む生活が見えない | (ニーズ)お風呂に入る気になれない日が多いが、さっぱりした状態で過ごしたい |
| (短期目標)週2回入浴できる | 拒否が続く状態で据え置くと、達成できない目標が残り続ける | (短期目標)声かけと時間帯の工夫により、入浴につながる日が月○回以上になる |
| (短期目標)入浴を拒否しなくなる | 本人の行動を変えることが目標になっており、支援する側の工夫が見えない | (短期目標)本人が応じやすい声かけと担当者の調整により、抵抗なく浴室へ移動できる |
| (サービス内容)入浴介助 | 拒否された時点で業務が終わってしまい、声をかけ直す根拠がない | (サービス内容)入浴の声かけ・誘導(断られた場合は時間を変えて再度声をかける)、入浴介助、応じない場合は清拭に切り替えて実施 |
| (サービス内容)本人が応じやすい声かけを行う | 具体性がなく、担当者が代わると引き継がれない | (サービス内容)「いいお湯が入りましたよ」と伝えると応じやすいため、同様の声かけを行う。午前中のほうが応じやすいため、順番を午前に調整する |
| (短期目標)家族が入浴させる | 家族の行為が目標になっており、本人の状態変化が示されていない | (短期目標)専門職による入浴支援を受け、家族と言い合いにならずに清潔が保てる |
| 記録に「入浴拒否のため中止」のみ | 何回声をかけ、代わりに何をしたのかが分からない | 声をかけた回数・時間帯・本人の言葉と、清拭等で対応した内容、皮膚の状態まで記録する |
プランを立てるときに覚えておきたいこと
入浴拒否は、本人が困らせようとしているわけではありません。忘れている、恥ずかしい、怖い、痛い、しんどい——どれも本人にとっては正当な理由です。そこを「拒否」という一語でまとめてしまうと、支援は声かけの根性比べになってしまいます。
ケアマネジャーができるのは、現場が試したことを記録から拾い上げ、うまくいった方法をプランに書いて残すことです。「この人はこう声をかけると入ってくれる」という知恵が、担当者の頭の中だけにある状態から、事業所の共有財産に変わります。
そして、どうしても入浴につながらない時期があっても、清潔を保つ方法は入浴だけではありません。清拭でも部分浴でも、本人の清潔と尊厳が守られていればそれは支援が機能している状態です。目標をそこに置いておけば、現場も家族も追い込まれずに済みます。
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2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報
介護報酬改定2026年(令和8年度)まとめ|いつから・変更点・対象サービスをわかりやすく解説
令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)
介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)
令和8年(2026年)介護報酬改定
- 令和8年度介護報酬改定 介護職員の給与を最大月1.9万円賃上げの内容
- 令和8年度版「介護職員等処遇改善加算」算定要件・配分ルール・計算方法
- 国保中央会運用「LIFE」2026年5月11日〜7月31日に移行作業しないと加算の継続算定できない
令和8年(2026年)介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数
介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)
- 居宅介護支援費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問介護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問看護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問リハビリテーション費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所介護費(デイサービス) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所リハビリテーション費(デイケア) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 短期入所生活介護費(ショートステイ) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 居宅療養管理指導費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 福祉用具貸与費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
地域密着型サービスの単位数改定内容
- 地域密着型通所介護費(小規模デイサービス) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 認知症対応型共同生活介護費(認知症グループホーム) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 小規模多機能型居宅介護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
介護予防サービス(対象:要支援)
- 介護予防支援費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防訪問看護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防居宅療養管理指導費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防短期入所生活介護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度
- 介護施設の協力医療機関とは?【2027年4月に義務化】
- 協力医療機関連携加算とは?単位数・算定要件・厚労省Q&A
- 高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件
- 【2026年版】科学的介護情報システム「LIFE」とは
- 個別機能訓練加算(Ⅰ)サービス種別ごとの単位数・算定要件
利用者負担軽減の仕組みの改定
補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。
令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し
令和7年8月1日施行 多床室の室料負担



