ケアマネの実地指導・運営指導で指摘されやすいポイントと対策【チェックリスト付き】

居宅介護支援事業所のケアマネを対象に、実地指導・運営指導で指摘されやすいポイントと事前対策をわかりやすく解説します。

「実地指導が近づいてきたが何を準備すればいいかわからない」「前回の指摘を繰り返さないようにしたい」というケアマネ・管理者の方に向けて、チェックリスト付きで整理しました。

・実地指導・運営指導の事前準備をしたい居宅介護支援事業所の管理者・ケアマネの方へ
・書類の整備状況を自己チェックしたい方へ

実地指導・運営指導とは何か

実地指導(現在は「運営指導」に名称変更)とは、都道府県・市区町村が介護保険サービス事業所に対して行う定期的な調査・指導です。2022年(令和4年)より「実地指導」という名称が「運営指導」に統一されましたが、現場では引き続き「実地指導」と呼ばれることも多いです。

運営指導では主に以下の3つが確認されます。

確認内容 概要
運営基準の遵守状況 人員基準・設備基準・運営基準を守っているか
記録の整備状況 ケアプラン・モニタリング・担当者会議記録等が適切に作成・保存されているか
介護報酬の請求の適正性 算定要件を満たしたうえで正確に請求されているか

居宅介護支援事業所では特に「ケアマネジメントの質」が確認されます。書類の有無だけでなく、記録の内容の適切性・ケアプランの個別性・モニタリングの実施状況まで細かく見られます。

実地指導で確認される主な書類一覧

実地指導では以下の書類が確認されます。事前に全利用者分の書類が揃っているか確認しましょう。

書類名 保存期間 確認ポイント
居宅サービス計画書(第1〜7表) 2年(完結の日から) 全表が揃っているか・署名・同意があるか
アセスメントシート 2年 ケアプラン作成前に実施されているか
サービス担当者会議の要点(第4表) 2年 開催日・参加者・検討内容・結論が記載されているか
モニタリング記録 2年 月1回以上の訪問・記録があるか(要支援は3ヶ月に1回)
支援経過記録(第5表) 2年 日々の支援内容が時系列で記録されているか
契約書・重要事項説明書 2年 署名・捺印があるか・最新版か
医師への意見照会記録 2年 ケアプランに医療サービスを位置づける際の照会記録があるか
インフォーマルサービスの記録 2年 家族支援・地域資源が適切に記録されているか

指摘されやすいポイントとその対策

①ケアプランに関する指摘

【指摘①】ニーズと目標・サービスの内容が一致していない

ケアプランの第1表の援助方針・第2表のニーズ・目標・サービス内容に矛盾や乖離がある場合、「一貫性がない」として指摘されます。

対策として、ケアプランを作成・変更する際に第1表の援助方針と第2表の目標が整合しているか必ず確認しましょう。「○○のニーズがあるのに、目標や援助内容に反映されていない」という状態を避けることが大切です。

【指摘②】ニーズや目標の表現が画一的・個別性がない

「食事介助を受けながら食事ができる」「入浴介助を受けながら清潔を保てる」のような機能的な表現だけでは、「個別性がない」と指摘されることがあります。

対策として、本人の言葉・希望・生活歴を反映させた表現を意識しましょう。ニーズは「〜したい」という本人の視点で表現し、目標は具体的な場面・生活の変化が伝わる言葉で書くことが効果的です。

【指摘③】目標の期間が長すぎる・見直しがされていない

短期目標の期間が1年以上になっていたり、期間が過ぎても更新されていない場合は指摘の対象になります。

対策として、短期目標は3〜6ヶ月程度を目安に設定し、期間満了時には必ず達成状況を評価して更新しましょう。特に状態変化があった際は期間にかかわらず見直しを行うことが重要です。

【指摘④】本人・家族のケアプランへの署名・同意がない

ケアプランの説明と同意の確認を示す署名がない・日付がない場合は必ず指摘されます。

対策として、ケアプラン作成・変更のたびに必ず本人または家族(代理人)から署名をもらいましょう。日付の記載漏れにも注意が必要です。

②モニタリングに関する指摘

【指摘⑤】モニタリング記録が「変化なし」だけで評価になっていない

最も多い指摘のひとつです。「○月○日訪問。変わりなし」という内容だけでは、目標の達成状況の評価がなされていないと判断されます。

対策として、モニタリング記録には「目標の達成状況」「各サービスの適切性の確認」「今後の方針」を必ず記載しましょう。文例については居宅ケアマネのモニタリング記録の文例集をご参照ください。

【指摘⑥】モニタリングの訪問記録がない月がある

「訪問はしたが記録を作成していなかった」「訪問日と記録作成日が大きく離れている」という場合に指摘されます。

対策として、モニタリング訪問後は速やかに記録を作成する習慣をつけましょう。訪問日・記録作成日を明記することも重要です。

【指摘⑦】特段の事情の記録がない

入院中などで訪問できなかった月に「特段の事情」の記録がない場合、「訪問をしていない」とみなされる可能性があります。

対策として、訪問できなかった月は必ず「特段の事情」の内容と理由を記録しておきましょう。電話での確認を行った場合はその内容も記録します。

③サービス担当者会議に関する指摘

【指摘⑧】担当者会議の記録が簡略すぎる

「開催した」という記録しかなく、検討内容・各担当者の意見・結論が記載されていない場合は指摘されます。

対策として、第4表には「検討した項目」「各担当者の意見」「結論」「残された課題」の4欄をしっかり埋めましょう。文例については第4表の文例集をご参照ください。

【指摘⑨】担当者会議の開催が適切に行われていない

認定更新時・ケアプラン変更時に担当者会議が開催されていない・書面照会の記録がない場合は指摘されます。

対策として、担当者会議を開催したか・書面照会で代替したかにかかわらず、その記録を必ず残しましょう。書面照会の場合は照会文書と回答を保存することが重要です。

【指摘⑩】医師が参加・照会されていない

訪問看護・訪問リハビリなどの医療系サービスをケアプランに位置づける際に、主治医への意見照会の記録がない場合は指摘されます。

対策として、医療系サービスを導入・変更する際は主治医への照会を行い、その記録を保存しましょう。

④その他の指摘事項

【指摘⑪】アセスメントがケアプラン作成前に実施されていない

アセスメントの実施日がケアプランの作成日より後になっている場合は、手順が逆であるとして指摘されます。

対策として、必ずアセスメント→ケアプラン作成→担当者会議→ケアプラン交付という順序を守りましょう。各書類の日付の整合性を確認することが重要です。

【指摘⑫】苦情対応の記録がない

利用者・家族から苦情を受けた際の記録・対応内容が残っていない場合は指摘されます。

対策として、苦情を受けた際は内容・対応経過・結果を支援経過記録に必ず記録しましょう。

【指摘⑬】個人情報の同意書がない・古いままになっている

個人情報の利用について同意を得た記録がない・入居者の変化に応じて更新されていない場合に指摘されます。

対策として、契約時に個人情報同意書を取得し、変更があれば更新することを確認しましょう。

実地指導事前チェックリスト

以下のチェックリストで事前確認を行いましょう。全項目にチェックが入れば実地指導の準備が整っています。

【ケアプラン関連】

  • 全利用者の第1〜7表が揃っているか
  • ケアプランに本人・家族の署名・同意(日付入り)があるか
  • ニーズ・目標・サービスに一貫性・整合性があるか
  • 短期目標の期間が適切に設定・更新されているか
  • 認定期間とケアプランの期間が合っているか

【アセスメント関連】

  • アセスメントの実施日がケアプラン作成日より前になっているか
  • 課題分析標準項目23項目が満たされているか
  • 再アセスメントが状態変化時・認定更新時に実施されているか

【モニタリング関連】

  • 全利用者について月1回以上の訪問・記録があるか(要支援は3ヶ月に1回)
  • モニタリング記録に目標の達成状況の評価が記載されているか
  • 訪問できなかった月は特段の事情が記録されているか
  • 記録に訪問日・作成日が明記されているか

【担当者会議関連】

  • 新規・認定更新・ケアプラン変更時に担当者会議または書面照会が実施されているか
  • 第4表に検討内容・結論・残された課題が記載されているか
  • 書面照会の場合は照会文書と回答が保存されているか
  • 医療系サービスを位置づける際に主治医への照会記録があるか

【支援経過関連】

  • 日々の支援内容・連絡調整が時系列で記録されているか
  • 苦情・事故対応の記録が残っているか
  • 電話連絡・照会の記録も支援経過に残されているか

【契約・同意関連】

  • 契約書・重要事項説明書に署名・捺印があるか
  • 個人情報に関する同意書があるか
  • 書類の保存期間(2年)が守られているか

実地指導でよく使われる指導区分

実地指導の結果は以下の区分で通知されます。

区分 内容
文書指摘 法令違反・基準違反があり、改善が必要と判断された場合。改善報告書の提出が求められる
口頭指導 軽微な不備・改善が望ましい点について口頭で指導される場合
確認事項 問題はないが、今後も継続して取り組むよう確認・助言される場合

文書指摘を受けた場合は指定期間内に改善報告書を提出する必要があります。繰り返し指摘を受けると、指定取消・効力停止などの行政処分につながる可能性もあるため、指摘事項は速やかに改善することが重要です。

記録の質を高めるための文例集はこちら

実地指導対策として最も効果的なのは、日頃から質の高い記録を書く習慣をつけることです。このサイトでは、ケアマネが日々書く各種書類の文例集を掲載しています。

2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

令和8年(2026年)介護報酬改定

令和8年(2026年)介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

地域密着型サービスの単位数改定内容

介護予防サービス(対象:要支援)

2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度

利用者負担軽減の仕組みの改定

補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

令和7年8月1日施行 多床室の室料負担