
ケアマネジャーの交代・引き継ぎ時に必要な手続き・書類・記録の書き方を解説します。
「担当ケアマネが退職して引き継ぎが必要になった」「利用者の希望で担当変更になった」「他事業所からの引き継ぎを受けることになった」といった場面で、何をどの順序で行えばいいかをまとめました。
・ケアマネ交代・引き継ぎの手順を確認したいケアマネ・管理者の方へ
・引き継ぎを受ける側・送る側それぞれの対応を知りたい方へ
ケアマネ交代が発生する主な場面
ケアマネジャーの交代・担当変更が発生する場面は主に以下の通りです。それぞれ手続きの流れが若干異なります。
| 交代の理由 | 特徴 |
|---|---|
| 担当ケアマネの退職・異動 | 同一事業所内での引き継ぎまたは他事業所への移管が必要。利用者への説明が必須 |
| 利用者・家族からの担当変更希望 | 利用者の権利として担当変更を希望する場合。理由を丁寧に聞き取り対応する |
| 事業所の閉鎖・廃業 | 全利用者の引き継ぎ先確保が必要。短期間で対応しなければならないケースも多い |
| 他事業所から引き継ぎを受ける | 前事業所からの情報収集と新規アセスメントの実施が必要 |
| 担当件数の調整による移管 | 逓減制対策・業務量調整のための事業所間移管 |
担当変更(送り出す側)の手続きの流れ
①利用者・家族への説明と同意
担当ケアマネが変更になることを利用者・家族に説明し、同意を得ることが最初のステップです。説明する内容は以下の通りです。
- 担当が変更になる理由(退職・異動・事業所都合等)
- 新しい担当者の名前・事業所(決まっている場合)
- 引き継ぎのスケジュール(いつから新担当になるか)
- 引き継ぎ期間中の連絡先
利用者・家族への説明は可能な限り直接訪問して行いましょう。退職等で時間的余裕がない場合でも、電話のみで済ませず、後日訪問またはお手紙でフォローすることが望ましいです。
②引き継ぎ資料の準備
新担当ケアマネまたは引き継ぎ先事業所に提供する引き継ぎ資料を準備します。以下の書類が主な引き継ぎ資料となります。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 現行のケアプラン(第1〜7表) | 最新版一式 |
| アセスメントシート | 直近のアセスメント内容 |
| 支援経過記録(第5表) | 直近1年程度の経過記録 |
| サービス担当者会議の要点(第4表) | 直近分 |
| モニタリング記録 | 直近数ヶ月分 |
| 医療情報・主治医連絡先 | 主治医名・医療機関・服薬内容・医療処置 |
| 緊急連絡先一覧 | 家族・かかりつけ医・各サービス事業所 |
| 引き継ぎメモ(口頭補足事項) | 書類に表れない利用者・家族の特性・注意事項・経緯等 |
書類のコピーを提供する場合は、利用者・家族の個人情報が含まれるため、取り扱いに十分注意しましょう。
③引き継ぎ訪問の実施(可能な場合)
可能な場合は新旧の担当ケアマネが一緒に利用者宅を訪問し、利用者・家族に対して直接引き継ぎを行うことが理想的です。利用者・家族の不安を軽減し、新担当への信頼をスムーズに移行させることができます。
④各サービス事業所への連絡
担当変更が決まったら、利用者が利用している全サービス事業所へ連絡を入れます。
- 担当ケアマネが変更になること
- 新担当者の氏名・連絡先・事業所名
- 担当変更の予定日
サービス事業所との関係引き継ぎは、利用者支援の継続性に直結するため丁寧に行いましょう。
⑤書類の廃棄・保管の確認
担当を終えた利用者の書類は、契約終了日から2年間の保存義務があります。退職や事業所異動の場合でも、書類の保管責任は事業所にあることを確認しておきましょう。
担当変更(引き継ぎを受ける側)の手続きの流れ
①前担当からの情報収集
可能な限り前担当ケアマネまたは前事業所から引き継ぎ資料と口頭での情報提供を受けましょう。特に書類に表れない以下のような情報が重要です。
- 利用者・家族の性格・価値観・関わり方のコツ
- 過去にトラブルになった経緯や注意すべき点
- 家族間の関係性・意見の相違点
- 緊急時の対応で重要な情報
- 現在進行中の課題・検討事項
②契約手続きの実施
新たに居宅介護支援の契約を締結する場合は、以下の手続きを行います。
- 重要事項説明書の説明と署名
- 居宅介護支援利用契約書の締結
- 個人情報の取り扱いに関する同意書の取得
- 居宅サービス計画作成依頼届出書の確認(利用者が市区町村に届け出ているか)
③初回訪問・アセスメントの実施
引き継ぎを受けた後、速やかに初回訪問(インテーク・アセスメント)を実施します。前担当から引き継いだ情報があっても、新担当として改めて利用者・家族の状況を直接確認することが重要です。
前のケアプランをそのまま継続する場合でも、引き継ぎ時には再アセスメントを実施し、現状の課題に合ったケアプランになっているかを確認しましょう。
④担当者会議の開催または照会
新担当によるケアプランを作成・変更する場合は、サービス担当者会議の開催または書面照会が必要です。引き継ぎによる担当変更は「ケアプランの変更」に該当するため、関係するサービス事業所への周知と合意形成を行いましょう。
引き継ぎの記録(支援経過)の書き方文例
引き継ぎに関連する支援経過記録の文例を示します。
【送り出す側の記録文例①:利用者への説明】
○月○日 担当ケアマネジャーの退職に伴い担当変更のご連絡のため利用者宅を訪問。本人・家族(長女)に対して退職の旨と新しい担当ケアマネジャー(○○事業所・○○氏)への引き継ぎについて説明を行った。本人より「今までありがとう」との発言があり、新担当への変更について了承を得た。○月○日に新旧ケアマネによる引き継ぎ訪問を行う予定とした。
【送り出す側の記録文例②:各事業所への連絡】
○月○日 担当変更に伴い、現在利用中の全サービス事業所(訪問介護○○事業所・通所介護○○事業所・福祉用具○○事業所)へ電話連絡。担当変更の日程と新担当者(○○事業所・○○氏)の連絡先を伝えた。各事業所より了承の返答を得た。
【引き継ぎを受ける側の記録文例①:初回訪問】
○月○日 前担当ケアマネジャー○○氏(○○事業所)との引き継ぎのため利用者宅を訪問。本人・長女同席のもと前担当より直接引き継ぎを受けた。引き継ぎ書類(ケアプラン一式・アセスメントシート・支援経過記録・医療情報)を受領した。本人に対して改めて自己紹介を行い、今後の支援について説明した。次回アセスメント訪問を○月○日に設定した。
【引き継ぎを受ける側の記録文例②:再アセスメント実施】
○月○日 担当変更後の初回アセスメントのため利用者宅を訪問。本人・家族より現在の状況を丁寧に聴き取り、前担当から引き継いだ情報と照合した。心身状況に大きな変化はなく、現行のケアプランを継続することが適切と判断した。引き続き現在のサービス体制を維持し、状態変化に留意しながら支援を続ける方針とする。次回担当者会議は認定更新時に開催予定。
引き継ぎ時の注意点とよくあるトラブル
①引き継ぎ書類が不十分なまま担当が変わってしまう
退職が急に決まった場合など、十分な引き継ぎができないまま担当変更になるケースがあります。この場合でも、最低限「現行のケアプラン・緊急連絡先・医療情報」は必ず引き継ぎましょう。口頭でも記録に残すことが重要です。
②利用者・家族が不安になるケースへの対応
担当変更に対して不安を示す利用者・家族は少なくありません。「新しいケアマネジャーはどんな人?」「また1から説明しなければならないの?」という不安に対して、丁寧に時間をかけて対応することが信頼構築の第一歩です。
③前担当の方針と新担当の方針のずれ
引き継ぎを受けた後で「前のケアマネはこうしてくれていた」という利用者・家族の声が出ることがあります。前担当の方針を否定することなく、新担当として改めて利用者のニーズを確認しながら最善のケアマネジメントを行うことが大切です。
引き継ぎ時の全体チェックリスト
【送り出す側】
- 利用者・家族への担当変更の説明と同意が取れているか
- 引き継ぎ資料(ケアプラン一式・アセスメント・支援経過等)を準備したか
- 口頭での引き継ぎ事項(書類に表れない情報)を伝えたか
- 各サービス事業所への担当変更連絡が完了したか
- 書類の保管・引き渡しの手続きが完了したか
【引き継ぎを受ける側】
- 前担当から引き継ぎ資料を受け取ったか
- 契約書・重要事項説明書の手続きが完了したか
- 初回訪問・アセスメントを速やかに実施したか
- 現行ケアプランの内容を確認し適切性を評価したか
- 各サービス事業所への新担当の挨拶・連絡が完了したか
- 担当者会議または照会の実施計画が立てられているか
あわせてご活用ください
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