介護支援専門員(ケアマネ)の更新研修|時間数・費用・受講要件と研修体系の全体像

ケアマネジャー(介護支援専門員)として働き続けるために必要な更新研修・専門研修の内容・時間数・受け方・費用・スケジュールをわかりやすく解説します。

2026年の法改正では、ケアマネの更新制度・有効期間は廃止される方向です。

ただし、ここで注意したいのは、研修そのものが完全になくなるわけではないという点です。更新制度が廃止されれば、更新研修という名前の研修は合わせて廃止されるはずですが、「更新制は廃止されるが、継続的な研修義務は残る」というのが、現実的なところとして議論されています。

「更新研修をいつ受ければいいかわからない」「専門研修と更新研修の違いが整理できていない」「更新を忘れてしまったらどうなるか心配」という方に向けてまとめました。

・介護支援専門員証の更新時期を迎えているケアマネの方へ
・研修の全体像を把握して計画的に受講準備を進めたい方へ

更新制度・有効期間が廃止される方向性ですが、この記事ではまだ従来の更新研修が残っている2026年時点の現状を踏まえ掲載していきます。

参考:ケアマネ更新研修は廃止される?2026年法改正と新たな義務研修を解説

ケアマネの資格(証)の有効期間について

介護支援専門員証には有効期間があります。有効期間は5年間で、更新するためには有効期間満了前に所定の研修を受講し、更新申請を行う必要があります。

有効期間が切れてしまうと、介護支援専門員として実務に就くことができなくなります。有効期間の満了日は証に記載されていますので、必ず確認しておきましょう。更新申請は都道府県ごとに受付期間が設けられており(一般的に満了日の1年前〜2ヶ月前程度)、早めに手続きを進めることが重要です。

ケアマネの研修体系の全体像

ケアマネジャーには、資格取得後のキャリア段階に応じていくつかの法定研修があります。まず全体像を把握しておきましょう。

研修名 対象者 時間数の目安 目的
介護支援専門員実務研修 試験合格後・初めてケアマネとして働く方 87時間以上 ケアマネジャーとしての基礎知識・技術の習得
専門研修課程Ⅰ 実務経験1〜3年程度のケアマネ 32時間以上 実務経験を踏まえた知識・技術の向上
専門研修課程Ⅱ 実務経験3年以上のケアマネ 32時間以上 高度なケアマネジメント技術の習得
更新研修(実務経験者向け) 実務経験がある更新対象のケアマネ 32〜88時間 資格の更新・最新知識の習得
更新研修(実務未経験者向け) 実務経験のない更新対象のケアマネ 88時間以上 資格の更新・実務への復帰準備
主任介護支援専門員研修 実務経験5年以上のケアマネ 70時間以上 スーパービジョン・地域包括ケアへの貢献
主任介護支援専門員更新研修 主任ケアマネ資格の更新対象者 46時間以上 主任ケアマネとしての資質の維持・向上
再研修 介護支援専門員証の有効期間が切れた方 87時間以上(実務研修と同等) 資格の再取得

更新研修の内容と時間数

実務経験者向け更新研修

現在ケアマネとして実務に従事しているまたは従事していた方が対象の更新研修です。実務経験の年数によって時間数が異なります。

実務経験の状況 受講時間数
専門研修課程Ⅰ・Ⅱを両方修了済み 32時間以上
専門研修課程Ⅰのみ修了済み 60時間以上
専門研修未受講(実務経験はある) 88時間以上

専門研修をきちんと受けておくことで、更新研修の時間数を大幅に短縮できます。専門研修は単なる「受講義務」ではなく、更新研修の負担軽減にもつながるため、早めに計画的に受けておくことをお勧めします。

主な研修内容:

  • 介護保険制度の最新動向・改正内容の確認
  • ケアマネジメントに係る法令・基準の確認
  • 適切なケアマネジメント手法・アセスメントの演習
  • 多職種連携・医療との連携に関する演習
  • 倫理的問題への対応(公正中立性・自己決定の尊重)
  • 虐待・ヤングケアラーなど複合的課題への対応
  • 地域包括ケアシステムの推進
  • ターミナルケア・看取りに関する知識
  • 認知症ケアに関する知識
  • 事例演習・グループワーク

実務未経験者向け更新研修

ケアマネ資格は保持しているが、しばらくケアマネとして実務に従事していない方(育児休業中・他の職種として勤務中など)が対象です。実務経験者向けより時間数が多く(88時間以上)、実務研修に近い内容で実務復帰の準備も兼ねた内容となっています。

専門研修の内容と時間数

専門研修は更新研修のための「下準備」という位置づけではなく、ケアマネジャーとしての専門性を高めるための研修です。ただし専門研修を受けておくことで更新研修の時間数が短縮されるため、実質的に連動しています。

専門研修課程Ⅰ(56時間以上)

実務経験1〜3年程度のケアマネを対象とした研修です。実務経験で生じた疑問や課題を踏まえながら、アセスメント・ケアプラン作成・サービス調整などの基礎的な技術を深めます。

主な内容は以下の通りです。

  • 居宅介護支援の基本的なプロセスの復習と演習
  • アセスメント技術の向上(課題分析の深化)
  • ケアプラン作成の演習(事例を用いた実践的な演習)
  • サービス担当者会議の進め方
  • 医療・保健・福祉の多職種との連携
  • 倫理的課題への対応

専門研修課程Ⅱ(32時間以上)

実務経験3年以上のケアマネを対象とした、より高度な研修です。複雑困難な事例への対応・地域包括ケアへの関与・他のケアマネへの指導など、スーパービジョンに向けての準備的な内容も含まれます。

主な内容は以下の通りです。

  • 複雑困難な事例の事例検討・演習(終末期・医療依存度の高いケースなど)
  • 多職種協働・チームアプローチの演習
  • 地域ケア会議への参加と地域課題の発見
  • 家族支援・介護者支援のあり方
  • 自立支援・重度化防止の視点からのケアマネジメント
  • 介護報酬・制度改正の最新動向

研修の受け方・申込手続きの流れ

①研修の実施時期と申込時期の確認

研修は都道府県が実施します(都道府県が指定した実施機関に委託している場合も多い)。実施時期・申込時期・受講料は都道府県によって異なりますので、自分の登録先都道府県の情報を確認することが最初のステップです。

一般的なスケジュールとして、年度はじめ(4〜5月頃)に都道府県から研修案内が発出され、夏〜秋にかけて研修が実施されるパターンが多いです。ただし都道府県によって大きく異なるため、早めに確認することが重要です。

②受講資格・対象者の確認

自分がどの研修の対象者に該当するかを確認します。介護支援専門員証の有効期間・実務経験の年数・専門研修の修了状況によって受講すべき研修が異なります。

どの研修を受ければよいかの判断フロー(実務経験者の場合)

  • 専門研修Ⅰ・Ⅱ両方修了済み → 32時間の更新研修
  • 専門研修Ⅰのみ修了済み → 60時間の更新研修
  • 専門研修未受講 → 88時間の更新研修

更新研修を受けることで、専門研修の受講は必須ではなくなりますが、専門研修を先に受けることで更新研修の時間数を減らすことができます。

③申込書類の準備と提出

申込に必要な主な書類は以下の通りです(都道府県によって異なります)。

  • 研修受講申込書
  • 介護支援専門員証の写し
  • 実務経験証明書(現在の勤務先の証明)
  • 専門研修修了証の写し(修了済みの場合)
  • 受講料の支払い(受講料は都道府県・研修時間によって異なる)

④研修の受講

研修は複数日程にわたって実施されます。東京都の例では、88時間コースの場合、8月上旬〜11月下旬の約3ヶ月間にわたって実施されており、丸1日かかる研修(グループ演習)を6日程度含むカリキュラムとなっています。

2024年以降、多くの都道府県でオンライン(WEB・オンデマンド)受講が導入されており、講義部分を自宅で受講できる環境が整いつつあります。ただしグループ演習・事例演習については対面での実施が求められることが多いです。

⑤修了証の受領と更新申請

研修修了後、修了証が発行されます。修了証を受け取ったら、速やかに都道府県への更新申請手続きを行います。更新申請に必要な書類・手数料は都道府県によって異なりますので、案内に従って手続きを行いましょう。

注意:更新研修を修了しただけでは資格は更新されません。必ず申請手続きを行うことが必要です。

研修の費用について

研修の受講料は都道府県・研修時間・実施機関によって異なりますが、以下が目安です。

研修の種類 受講料の目安(都道府県により異なる)
更新研修(32時間) 約15,000〜25,000円程度
更新研修(60時間) 約25,000〜40,000円程度
更新研修(88時間) 約35,000〜55,000円程度
専門研修課程Ⅰ(56時間)+課程Ⅱ(32時間) 約15,000〜25,000円程度(各)

費用は事業所が負担するケースと自己負担のケースがあります。事前に事業所の方針を確認しておきましょう。なお一部の都道府県では、介護支援専門員の確保・定着を目的として受講料の軽減制度を設けています。

更新を忘れた・有効期間が切れてしまった場合

介護支援専門員証の有効期間が切れてしまうと、その期間中は介護支援専門員として実務に就くことができません。有効期間が切れた場合は「再研修」を受講することで資格を再取得できますが、再研修は実務研修とほぼ同等の時間数(87時間以上)が必要となり、更新研修よりも大幅に時間がかかります。

有効期間の管理は自己責任です。証の満了日を必ず確認し、余裕をもって更新手続きを進めましょう。満了日の1年前〜2ヶ月前には更新申請の受付が始まる都道府県が多いため、その時期に忘れずに手続きを行いましょう。

更新研修制度の見直しに関する最新動向

2024年4月に厚生労働省にて「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が立ち上がり、ケアマネの更新研修制度の廃止・見直しについて議論が行われています。2026年6月時点では廃止の正式決定はありませんが、現行制度への課題認識は高まっています。

主な問題点として指摘されているのは、研修期間・時間が長く(最大88時間・3ヶ月程度)、就業しながらの受講が負担になっていること、受講料が高いこと、研修内容が実務にすぐ役立たないとの声があることなどです。

見直し案として「5年に1度の集中研修から毎年5時間程度の研修受講義務に変更する」という方向性も議論されており、今後の動向が注目されます。最新情報は厚生労働省の発表や各都道府県の通知を確認するようにしましょう。

研修を効果的に活用するためのポイント

①研修は「義務」ではなく「学びの機会」として捉える
更新研修・専門研修は法定義務ですが、介護保険制度の改正内容・最新のケアマネジメント手法・他のケアマネとの事例共有など、現場で役立つ学びが多く含まれています。義務だからしぶしぶ受けるのではなく、積極的に学びを得る場として活用しましょう。

②グループ演習での事例共有を大切にする
グループ演習では他のケアマネジャーと事例を共有します。自分が普段接しない疾患・家族状況・地域資源の活用事例などを知ることで、実践の幅が広がります。

③修了証・研修記録は大切に保管する
修了証は次回の更新申請時に必要です。紛失しないよう大切に保管しましょう。また実地指導でも研修受講記録の確認が行われることがあります。

自分が受けるのはどの研修か、先に確定させる

研修の名前が似ていて分かりにくいのですが、判断に必要な材料は3つだけです。介護支援専門員証の有効期限、実務についているかどうか、そして主任を目指すかどうか。この順番で確認すると、受ける研修が決まります。

今の状況 受ける研修 確認したいこと
試験に合格したばかり(証をこれから取る) 介護支援専門員実務研修 合格後の受講期限。受けないと登録できない
有効期限が近く、実務についている 専門研修課程Ⅰ・Ⅱ(更新研修として扱われる) 実務経験年数によって必要な課程が変わる
有効期限が近く、実務についていない 実務未経験者向けの更新研修 実務経験者向けとは時間数・内容が異なる
期限が切れてしまった 再研修(再び登録するための研修) 切れた期間の長さによって扱いが変わることがある
主任介護支援専門員を目指す 主任介護支援専門員研修 実務経験年数などの受講要件。定員があり選考されることも
主任の更新時期が来た 主任介護支援専門員更新研修 主任の資格にも有効期間がある点を見落としやすい

見落としやすいのが、主任介護支援専門員の資格にも有効期間があることです。介護支援専門員証の更新とは別に管理が必要で、こちらを切らしてしまうと特定事業所加算の人員要件に影響します。事業所として管理しているなら、両方の期限を一覧にしておくと安心です。主任の要件は主任ケアマネ(主任介護支援専門員)とは?受講要件・役割・取得のメリットで解説しています。

時間数と費用の目安

時間数は国が示す基準がありますが、費用と日程は都道府県ごとに決まります。ここが調べにくいところで、「ケアマネ 更新研修 費用」と検索しても一律の答えが出てこない理由でもあります。

研修 時間数の目安 費用の考え方
実務研修 87時間以上(実習を含む) 都道府県ごとに設定。数万円台が一般的
専門研修課程Ⅰ 32時間以上 都道府県ごとに設定
専門研修課程Ⅱ 32時間以上 都道府県ごとに設定
更新研修(実務未経験者向け) 54時間以上 都道府県ごとに設定
主任介護支援専門員研修 70時間以上 実務研修より高めに設定されることが多い
主任介護支援専門員更新研修 46時間以上 都道府県ごとに設定

費用については、事業所が負担するのか本人負担なのかで扱いが分かれます。特定事業所加算を算定している事業所では、研修受講を人材育成の一環として位置づけているところも多く、受講料の補助を制度化している法人もあります。就業規則や研修規程を確認してみてください。

なお時間数は制度上の基準であり、実際の日程は都道府県が組みます。オンラインとの併用が進んだことで、以前より通いやすくなった地域もあります。

申込を逃さないためのスケジュールの立て方

更新研修でいちばん多いトラブルは、申込期間を逃すことです。研修の開催は年に1回程度、申込期間は1か月前後しかないことが珍しくありません。有効期限の直前に気づいても、次の開催まで待つことになります。

有効期限から逆算する形で、次のように押さえておくと取りこぼしません。

・期限の1年半前に、都道府県または受託団体のサイトで開催予定を確認する
・期限の1年前には申込を済ませる(期限年度に受ける前提だと間に合わないことがある)
・申込時に必要な書類(実務経験証明書など)は、勤務先の押印が必要な場合があるので早めに依頼する
・複数の職員が対象になる年は、同時に抜けると業務が回らなくなるため、受講時期を分散させる

実務経験証明書は、過去に勤めた事業所に発行を依頼するケースもあります。連絡が取りにくい相手だと時間がかかるため、これも早めに動くほうが確実です。

よくある質問

Q. 有効期限が切れてしまったらどうなりますか。
介護支援専門員として業務を行うことができなくなります。再研修を受けて登録し直す流れになりますが、扱いは都道府県により異なる部分があるため、まず登録先の都道府県に相談してください。

Q. 実務についていない期間があると、受ける研修は変わりますか。
変わります。実務経験の有無によって、専門研修で更新できる場合と、実務未経験者向けの更新研修を受ける場合に分かれます。ご自身の実務経験期間を整理してから確認するとスムーズです。

Q. 転居した場合はどの都道府県で受けますか。
登録している都道府県が基本になります。登録の移転手続きが必要な場合もあるため、引っ越しが決まった時点で確認しておくと安心です。

Q. 研修中の勤務はどうなりますか。
法人の取り扱いによります。勤務として扱う場合と、休暇を使う場合があります。長期にわたるため、担当利用者の対応を誰が引き継ぐかも含めて事前に調整が必要です。引き継ぎの手順はケアマネ交代・引き継ぎ時の手続きと記録の書き方を参考にしてください。

Q. 研修の内容は実務に役立ちますか。
評価は分かれるところですが、事例検討やグループワークで他の事業所のやり方に触れられる点は、実務に持ち帰りやすい部分です。受講前に「自分の事業所の課題を1つ持っていく」と決めておくと、得られるものが変わります。

研修の時間数・費用・日程は、年度や都道府県によって変わります。申込前に、登録先の都道府県(または研修の受託団体)が公表している実施要綱で最新の内容をご確認ください。

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