
居宅介護支援の逓減制(担当件数が一定数を超えると基本報酬が減算される仕組み)について、2024年(令和6年)介護報酬改定に対応した仕組み・担当件数の数え方・対応策をわかりやすく解説します。
「逓減制が適用される件数の上限はいくつか」「要支援の利用者は何件として数えるのか」「2024年改定で何が変わったか」「逓減制に対応するための方法は何か」というケアマネ・管理者の方に向けてまとめました。
・逓減制の仕組みを正しく理解して適切に算定したい方へ
・2024年改定での担当件数の変更点を確認したい居宅介護支援事業所の管理者・ケアマネの方へ
逓減制とは何か
逓減制(ていげんせい)とは、居宅介護支援事業所のケアマネジャー1人が担当する利用者数が一定の件数を超えた場合に、基本報酬が減額(逓減)される仕組みです。ケアマネジャー1人あたりの担当件数が多すぎると、一人ひとりの利用者に対するケアマネジメントの質が低下する恐れがあるため、適正な件数を超えた部分については報酬が下がる設計になっています。
逓減制は「基本報酬に対して一定の割合が減算される」という形で適用され、担当件数が多いほど1件あたりの報酬が大幅に低くなります。事業所経営の観点では、逓減制が適用されない件数の範囲内で効率的に運営することが重要です。
参考:逓減制とは?居宅ケアマネ必読、読み方と意味や要件・緩和とは?
2024年(令和6年)改定での主な変更点
2024年度の介護報酬改定において、逓減制に関して以下の変更が行われました。
①逓減制が適用されない件数の上限が引き上げられた
居宅介護支援費(Ⅰ)は、逓減制が適用にならない範囲の担当件数が40件未満から「45件未満」に緩和されました。さらに、所定の要件を満たす居宅介護支援費(Ⅱ)では、担当件数が45件未満から「50件未満」に引き上げられました。
②要支援の利用者の換算方法が変更された
要支援の利用者の数え方が、2人で1人と換算していた現行の考え方(2分の1)から、「3人で1人」と換算する考え方(3分の1)に変わりました。これにより要支援の利用者を多く担当している事業所では、実質的な担当可能件数が増えることになります。
担当件数の上限と逓減制の仕組み
居宅介護支援費(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
2024年度の介護報酬改定より、ケアマネジャー1人あたりの1ヵ月の担当可能件数の上限(通常報酬の範囲)は44件(逓減制適用開始は45件以上)となりました。さらに、居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件を満たしている事業所では、49件(逓減制適用開始は50件以上)まで通常報酬で担当することが可能になりました。
| 区分 | 逓減制が適用されない上限(改定前) | 逓減制が適用されない上限(改定後) |
|---|---|---|
| 居宅介護支援費(Ⅰ) | 40件未満 | 45件未満 |
| 居宅介護支援費(Ⅱ) | 45件未満 | 50件未満 |
居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件
居宅介護支援費(Ⅱ)を算定し、より多くの件数を担当可能にするためには以下の要件を満たす必要があります。
- ICT機器等の活用:厚生労働省が提供する「ケアプランデータ連携システム」等の、業務負担軽減に資する十分な機器等を備え活用していること
- 事務職員の配置:介護支援専門員が行う一連の業務等の負担軽減や効率化に資する事務職員を配置していること
この2つの要件を満たすことで、逓減制が適用されない件数の上限が50件未満に引き上げられます。
担当件数の正しい数え方
逓減制における担当件数の数え方は、利用者の介護度によって異なります。正確に理解しておくことが重要です。
要介護者と要支援者の換算方法
| 利用者の区分 | 件数の換算方法(2024年改定後) | 換算方法(改定前) |
|---|---|---|
| 要介護1〜5の利用者 | 1人=1件として計算 | 1人=1件として計算(変更なし) |
| 要支援1・2の利用者 | 3人で1件として計算(3分の1) | 2人で1件として計算(2分の1) |
計算例
要介護の利用者が40名・要支援の利用者が9名の場合、改定後の換算では 40+(9÷3)= 43件となります。居宅(Ⅰ)の上限45件未満に収まるため、逓減制は適用されません。
改定前の換算(要支援2分の1)では、40+(9÷2)= 44.5件となり、上限の40件を超えていたため逓減制が適用されていました。2024年改定により要支援の換算が緩和されたことで、同じ担当人数でも逓減制が適用されにくくなりました。
件数に含まれる・含まれないケース
逓減制における担当件数とは、原則として「その月に居宅介護支援費を算定(請求)した人数」を指します。
【担当件数に含まれるケース】
- 当月に居宅介護支援費を算定している利用者
- 要支援の利用者(介護予防支援として管理し、報酬を算定しているケース)
- 月の途中で新規に担当し、当月分の報酬を算定する利用者
- ショートステイ利用中で、居宅介護支援の業務を継続・算定している利用者
【担当件数に含まれないケース】
- 入院等により、当月のサービス利用が一切なく居宅介護支援費を算定しない利用者
- 月の途中で他事業所へ変更となり、自事業所で当月の報酬を算定しない利用者
逓減制が適用された場合の報酬額の変化
逓減制が適用される件数(45件以上または50件以上)を超えた利用者については、基本報酬が大幅に減算されます。具体的には件数に応じて「50%(半額)」または「30%(7割引き)」となります。
| 担当件数の状況(居宅Ⅰの場合) | 基本報酬の扱い |
|---|---|
| 44件まで(45件未満) | 通常の基本報酬(100%)を算定 |
| 45件〜59件目までの部分 | 基本報酬の50%(居宅介護支援費Ⅲを算定) |
| 60件目以降の部分 | 基本報酬の30%(居宅介護支援費Ⅳを算定) |
※居宅介護支援費(Ⅱ)の要件を満たす場合は、50件〜59件目が50%、60件目以降が30%となります。
たとえば45件目以降の利用者については、基本報酬が半分になってしまいます。担当件数が増えれば増えるほど収益の効率が下がることを理解したうえで、適切な件数管理を行いましょう。
逓減制に対応するための実務的な対策
①居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件を満たす
ICTを活用した業務効率化と事務職員の配置により、逓減制が適用されない件数の上限を50件未満まで引き上げることができます。ケアプランデータ連携システムの導入・活用を検討しましょう。
②要支援の利用者の担当割合を見直す
2024年改定で要支援の換算が「2分の1→3分の1」に緩和されたことにより、要支援の利用者を多く担当している事業所では実質的な担当可能件数が増えました。要支援の利用者の受け入れを積極的に行うことが、収益の最大化につながる可能性があります。
③複数のケアマネジャーを配置して件数を分散する
1人のケアマネジャーに担当件数が集中しないよう、複数のケアマネジャーを配置して担当件数を分散させることが基本的な対策です。特定事業所加算の要件(主任ケアマネ配置や複数名配置など)を達成することで、担当件数の分散と加算の算定を両立できます。
④担当件数の月次管理を徹底する
毎月、ケアマネジャーごとの担当件数(算定見込み件数)を正確に把握し、逓減制の適用有無を確認する習慣をつけましょう。要支援の換算方法が変更されたため、改定前の管理方法をそのまま使っていると誤算が生じる可能性があります。
2024年改定で新設された同一建物減算
2024年度改定では、逓減制とは別に居宅介護支援に新たに「同一建物減算」が設けられました。
事業所がある建物と同一、もしくは隣接する敷地内の建物に住む利用者について、「1か月あたり20名以上」のケアマネジメントを担当する場合は、該当する利用者の基本報酬が所定単位数の95%(5%減算)となります。
具体的には以下のような場合が該当します。
- サービス付き高齢者向け住宅に併設する事業所が、その施設利用者を1か月に20名以上担当している場合
- 事業所が1つの有料老人ホーム等に住む利用者を、1か月に20名以上担当している場合
逓減制と同一建物減算の両方に注意を払いながら、適切な担当件数管理を行うことが重要です。
逓減制に関する毎月のセルフチェックリスト
毎月の請求前に以下のチェックを行いましょう。
- ケアマネジャーごとの担当件数(要介護・要支援別の算定対象者数)を集計しているか
- 要支援の利用者は3分の1換算(2024年改定後)で正しく計算しているか
- 居宅介護支援費(Ⅱ)の算定要件(ICT活用・事務職員配置)を満たしているか
- 逓減制が適用される件数を超えた利用者に対して正しく減算(50%または30%)で算定しているか
- 同一建物減算(月20名以上)に該当するケースがないか確認しているか
- 担当件数の超過が見込まれる場合は早めにケアマネジャー間で調整しているか
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