セルフケア不足のニーズ・長期目標・短期目標の例文集

セルフケアの困難さは、認知症高齢者だけでなく、要介護・高齢者全般において重要な課題です。

清潔保持、排泄、服薬、食事、睡眠といった生活の基本的な営みが自立して行えない場合、健康の維持や尊厳の保持にも影響を及ぼします。本記事では、セルフケア不足に関するニーズ、長期目標、短期目標の例を、「どのような生活を望んでいるか」「何に困っているのか」「ケアの目標は何か」という視点で整理しました。ケアプラン作成時の参考にしてください。

セルフケア不足のニーズ・目標の例文集

セルフケア項目 ニーズの例 長期目標の例 短期目標の例
清潔保持(洗面・入浴・整容) ・入浴や洗顔を忘れてしまい、身だしなみを整えられない
・髪や爪を清潔に保てず、衛生面が懸念される
・人前に出ることに不安があり、外出を避けるようになった
・清潔を保ち、身だしなみに配慮しながら気持ちよく生活できる
・必要な介助を受けながらも、自分らしい生活スタイルを継続できる
・週2回、職員の声かけで洗顔や整髪を実施できる
・週1回の訪問入浴サービスを活用し、入浴時に笑顔が見られるようになる
・ヘルパーとともに衣類の選択や整容を行い、身なりを整えて外出できる
排泄の自己管理 ・トイレの場所を忘れて失禁してしまう
・尿意や便意を適切に伝えられず、紙パンツへの排泄が常態化している
・排泄の失敗に対する羞恥心や自己否定感が強い
・尊厳を保ち、自分らしい排泄ができるようになる
・安心してトイレを利用し、生活リズムを整えることができる
・トイレ誘導によって、昼間は排泄をトイレで行える回数が増える
・紙パンツやパッドの使用を本人のペースで受け入れられるようになる
・便秘や下痢などのトラブルが減少し、排便リズムが安定する
食事・栄養管理 ・食事を摂ることを忘れてしまう
・好き嫌いが激しく、栄養バランスが偏っている
・嚥下機能の低下により、食事中のむせ込みが多くなった
・安全に楽しく食事をとり、必要な栄養を摂取できるようになる
・自分の好きな食事を、できるだけ自分の手で食べられるようになる
・職員の声かけで、1日3回の食事を一定量摂取できるようになる
・嚥下体操を毎日継続し、むせ込みが減少する
・栄養補助食品の導入により、体重の維持が可能になる
服薬の自己管理 ・薬の飲み忘れや重複服薬がある
・薬の目的や服用方法を理解できていない
・副作用への不安が強く、服薬を拒否することがある
・正しく服薬し、体調を安定させることができる
・薬を生活の一部として自然に取り入れられるようになる
・服薬支援アプリやカレンダーを活用し、朝の服薬が定着する
・服薬支援者の説明を聞き、薬への理解が深まる
・一部の薬については自己管理が可能になる
睡眠・休養 ・夜間に何度も起きてしまい、昼夜逆転の生活になっている
・眠れない不安から、日中も落ち着かない
・昼寝の時間が長く、夜の入眠が困難になっている
・安定した睡眠習慣を取り戻し、日中の活動が充実する
・安心して就寝できる環境が整い、精神的にも安定する
・音楽や照明の調整で、寝つきが改善する
・生活リズム表により、起床・就寝時間が一定になる
・日中の軽い運動を取り入れ、夜間の中途覚醒が減少する

まとめ

セルフケア不足のニーズは、本人の尊厳や生活の質に直結する重要なテーマです。ケアマネジャーや介護職は、本人の言葉や表情、生活歴を丁寧にくみ取りながら、目標を具体化し、支援の方向性を共有することが求められます。本記事の例文が、現場でのケアプラン作成の一助となれば幸いです。

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