パーキンソン病のケアプラン文例|ニーズ・長期目標・短期目標【ヤール重症度別・ウェアリングオフ対応】

パーキンソン病のある利用者に関するケアプランのニーズ・長期目標・短期目標の例文・文言集です。

居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成する際に直面する様々な課題を解決するためのお手伝いをします。

・パーキンソン病に関するニーズや目標の文例や記入例を見ながら、ケアプランや計画書作成をスムーズに進めたい方へ
・監査や実地指導での指摘を避け、安心して業務に取り組みたい方へ

パーキンソン病は、振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害などを主症状とする進行性の神経疾患です。すくみ足・小刻み歩行・転倒リスク・嚥下障害・自律神経症状など多様な症状が日常生活に影響し、薬の効果が時間によって変わる「ウェアリングオフ現象」への対応も重要です。症状の進行段階に応じてニーズが変化するため、定期的な見直しを意識したプラン作りが求められます。利用者の状態や薬の効き具合に合わせて文言をアレンジしてお使いください。

パーキンソン病に関するニーズ・長期目標・短期目標例文一覧

パーキンソン病のケアプランを作成するときは、「症状がどのように日常生活に影響しているか」「薬の効果が出ているオン時・切れているオフ時で状態が異なること」を踏まえてニーズを整理することが重要です。転倒予防・服薬管理・コミュニケーション・嚥下など多面的な視点で文言を選んでください。

歩行・転倒予防に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
すくみ足があり歩き出しや方向転換のときに転倒しそうになるため、安全に歩けるようになりたい すくみ足への対処方法を習得し、転倒なく安全に歩行が継続できるようになる 理学療法士の指導のもとすくみ足への対処(リズム歩行・視覚的手がかりの活用など)を習得し、安全に歩けるようになる
小刻み歩行で転倒リスクが高いため、転ばないよう工夫しながら生活したい 小刻み歩行による転倒が防止され、安全に日常生活が送れるようになる 歩行補助具の適切な使用と歩行訓練を継続し、転倒なく自宅内を移動できるようになる
突進歩行があり止まれずに転倒することがあるため、安全に移動できるようにしたい 突進歩行への対処方法が定着し、転倒なく安全に移動できるようになる 歩行時の止まり方・方向転換の方法を訓練し、危険な場面での対応ができるようになる
姿勢が前傾みになり重心が不安定で転倒が心配なため、姿勢を意識しながら安全に生活したい 姿勢の改善と転倒予防の取り組みにより、転倒なく安全に日常生活が送れるようになる 理学療法士の指導のもと姿勢矯正の訓練を行い、前傾姿勢が改善されて歩行が安定できるようになる
薬の効果が切れる時間帯(オフ時)に動きが極端に悪くなり転倒が心配なため、安全に対応できるようにしたい オフ時の対応体制が整い、薬の効果に関わらず安全に生活が続けられるようになる オフ時の時間帯を把握し、その時間帯に合わせた活動制限と見守り体制を整えることができる

日常生活動作(ADL)の維持に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
手の震えがあり食事・更衣・整容などの動作が難しくなってきたため、できる限り自分でできるようにしたい 振戦に対応した方法を習得し、日常生活動作の自立度が維持できるようになる 作業療法士の指導のもと振戦があっても行いやすい動作方法を習得し、食事・更衣が自力でできるようになる
動作が遅くなり日常生活に時間がかかるようになっているため、焦らず安全に動けるようになりたい 時間をかけながらも安全に日常生活動作が継続でき、自立した生活が送れるようになる 動作に十分な時間を確保し、焦らず安全に行えるよう支援者・家族が適切な関わりができるようになる
寝返りや起き上がりが難しくなってきたため、ベッド上での動作を安全に続けたい ベッド上での動作が安全に継続でき、自立した生活が維持できるようになる 介護ベッドの機能と福祉用具を活用し、寝返り・起き上がりが安全にできるようになる

服薬管理に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
パーキンソン病の薬を決められた時間に正確に飲むことが難しいため、確実に服薬しながら症状を安定させたい 服薬が正確な時間に継続され、パーキンソン病の症状が安定した生活が送れるようになる 服薬時間のアラーム設定や訪問時の確認により、決められた時間に確実に服薬できるようになる
薬の飲み忘れや時間のずれが症状の波(オン・オフ)に影響するため、正確な服薬管理をしたい 服薬管理が適切に行われ、オン・オフの波が最小限に抑えられた安定した生活が続けられるようになる 訪問看護師による服薬確認を定期的に受け、服薬時間のずれなく管理できる体制を整える

嚥下・コミュニケーションに関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
飲み込みが悪くなりむせることが増えてきたため、誤嚥せずに食事が続けられるようになりたい 嚥下機能が維持・改善し、誤嚥なく安全に食事ができるようになる 言語聴覚士による嚥下訓練を受け、適切な食形態と食事姿勢で安全に食事ができるようになる
声が小さくなり言葉が伝わりにくくなっているため、意思が伝えられるようにしたい コミュニケーション能力が維持・改善し、意思疎通がスムーズにできるようになる 言語聴覚士による発声訓練を受け、声量と明瞭度が向上し日常会話が伝わるようになる

精神症状・生活意欲に関するニーズ・目標

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
パーキンソン病の進行への不安や抑うつ感があり意欲が低下しているため、前向きに生活を続けたい 精神的な安定が保たれ、意欲的に日常生活が送れるようになる 主治医・訪問看護師への定期的な相談と、デイサービスへの参加により気持ちの安定が図れるようになる
症状の進行が心配で外出や活動を控えるようになっているため、楽しみを持ちながら生活したい 生活の楽しみや社会参加が維持され、意欲的に生活が続けられるようになる デイサービスや趣味活動への参加を週○回継続し、生活の充実感が得られるようになる
パーキンソン病の介護に家族が疲弊しているため、専門職のサポートを受けながら在宅を続けたい 専門職のサポートにより家族の負担が軽減され、在宅生活が安心して続けられるようになる 訪問看護・デイサービスを組み合わせ、家族が定期的に休める体制を整えることができる

【重症度(ヤール分類)別】パーキンソン病のニーズ・長期目標・短期目標の文例

パーキンソン病は進行の段階によって支援の重心が大きく変わります。ホーエン・ヤールの重症度分類を目安に、段階別の文例をまとめました。

ヤールⅠ〜Ⅱ度(軽度・日常生活はほぼ自立)

症状は片側または両側にあるものの、日常生活は自立している段階です。運動習慣の維持と服薬の自己管理、就労・社会参加の継続が目標の中心になります。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
動きにくさが出てきたが、体を動かす習慣を続けて進行を遅らせたい 運動習慣が定着し、身体機能を保ちながら自立した生活が続けられるようになる 週2回の通所リハビリと自宅での体操を継続し、現在の歩行能力を維持できる
手の震えが気になるが、これまでどおり趣味や地域の集まりを続けたい 症状があっても社会とのつながりが維持され、生きがいを持って生活できるようになる 症状が落ち着いている時間帯に予定を組み、月2回の趣味の集まりに参加できる
字が書きにくくなってきたが、身の回りの手続きは自分でしたい 本人が行いたい生活動作が維持され、自分のことを自分で決められる生活が続く 作業療法士の助言により、書字しやすい道具・姿勢を用いて記入ができる
病気のことが不安だが、正しく理解して付き合っていきたい 疾患への理解が深まり、不安が軽減された状態で療養生活が送れるようになる 受診時に症状を医師へ伝えられるよう、日々の症状メモを続けられる

ヤールⅢ度(中等度・姿勢反射障害あり/自立生活は可能)

方向転換時の不安定さや転倒が現れ、日常生活に部分的な介助が必要になる段階です。転倒予防と生活動作の維持を並行させます。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
方向転換のときにバランスを崩すため、転ばずに家の中を動きたい 屋内での転倒がなく、自宅での生活が安全に継続できるようになる 方向転換は回り込むように行う方法を身につけ、居室内を転倒なく移動できる
着替えに時間がかかるようになったが、できることは自分で続けたい 更衣動作の自立が可能な範囲で維持され、自分らしい生活が続けられるようになる 着脱しやすい衣類に変更し、時間をかけながらも上衣の着脱を自分で行える
入浴中に体が固まって動けなくなるのが怖いため、安全に入浴したい 安全な入浴が継続され、清潔を保ちながら生活できるようになる 薬が効いている時間帯に入浴し、見守り・一部介助のもと週2回入浴できる
家の中の段差やコードにつまずくため、安全な環境で生活したい 住環境が整備され、転倒することなく在宅生活が続けられるようになる 動線上の段差解消・手すり設置・コード類の整理を行い、つまずく場面が減る

ヤールⅣ〜Ⅴ度(重度・介助が必要/車いす・臥床が中心)

起立・歩行に介助を要する、または車いす・ベッド上での生活が中心となる段階です。二次的な合併症(誤嚥性肺炎・褥瘡・拘縮)の予防と、意思表出の支援が重要になります。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
自分で動くことが難しくなったが、体が固まらないようにしてほしい 関節の拘縮が予防され、介助を受けやすい身体の状態が維持できる 訪問リハビリによる関節可動域訓練を週○回受け、可動域を維持できる
寝ている時間が長くなったため、床ずれをつくらないようにしたい 褥瘡を発生させることなく、安楽な状態で在宅生活が継続できるようになる 体圧分散マットレスの使用と定期的な体位変換により、発赤なく経過できる
食事のときにむせるようになったが、口から食べることを続けたい 誤嚥性肺炎を起こさず、口から食べる楽しみが続けられるようになる 食事形態の調整と姿勢の工夫により、むせずに食事を摂ることができる
声が小さくなって伝わらないため、自分の気持ちを分かってもらいたい 意思の表出手段が確保され、本人の希望が支援に反映される生活が続く 文字盤・うなずきなど本人に合った伝達方法を関係者間で統一できる
介護する家族の負担が大きいため、無理のない形で在宅生活を続けたい 家族の介護負担が軽減され、在宅での生活が継続できるようになる 訪問介護・ショートステイの利用により、家族が休息をとる時間を確保できる

ウェアリングオフ・オンオフ現象への対応の文例

薬の効果が切れて動けなくなる時間帯(オフ)と、効いている時間帯(オン)の差が大きくなるのがパーキンソン病の特徴です。ケアプランでは、サービスの提供時間を薬の効果に合わせて設計する視点が欠かせません。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標
薬が効いている時間と切れている時間の差が大きいため、生活のリズムを整えたい 症状の変動に合わせた生活リズムが確立し、安定して過ごせるようになる 症状日誌をつけて薬の効果時間を把握し、入浴・外出をオンの時間帯に予定できる
薬が切れると動けなくなり不安になるため、その時間帯も安心して過ごしたい オフ時間の対応が確立し、本人・家族が不安なく過ごせるようになる オフ時に無理に動かず安全に待てる環境(座る場所・呼び出し手段)を整えられる
服薬の時間が細かく決まっているため、飲み忘れずに続けたい 服薬が正確な時間に継続され、症状のコントロールができるようになる タイマー・服薬カレンダーとサービス訪問時の声かけにより、時間どおり服薬できる
デイサービスの時間に体が動かず参加できないことがある 本人の状態に合ったサービス利用ができ、活動の機会が維持できるようになる 薬の効果時間に合わせて送迎・利用時間を調整し、参加できる日を増やせる

服薬管理の詳しい文例は服薬管理のニーズ・長期目標・短期目標の例文集をご覧ください。

パーキンソン病のケアプランでよくあるNG例と改善例

NG例 見直したい理由 改善例
(長期目標)症状が改善し、元のように歩けるようになる 進行性疾患であり、症状の回復を前提とした目標は達成できない (長期目標)症状とうまく付き合いながら、自宅での生活が安全に続けられるようになる
(短期目標)毎日30分歩く 症状の日内変動を考慮しておらず、オフ時間には実行できない (短期目標)薬が効いている時間帯に、無理のない範囲で毎日の歩行を継続できる
(ニーズ)パーキンソン病により転倒リスクが高い 専門職の評価であり、本人の望む生活が見えない (ニーズ)ふらつきがあるが、転ばずに自分の足で家の中を動き続けたい
(サービス内容)機能訓練(時間指定なし) 症状の変動が大きい疾患では、提供時間が合わないと効果が出ない (サービス内容)服薬後○時〜○時(オン時間帯)に個別機能訓練を実施
(短期目標)転倒しない 結果のみの目標で、そのための行動・環境が示されていない (短期目標)方向転換の方法を習得し、動線の環境整備とあわせて転倒なく移動できる

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